■手軽に雲海に出合うことができる施設

鶴見岳(大分県)山頂まで延びる、別府ロープウェイ

 雲海を見るためには登山だけではなく、ロープウェイや高地の展望台に行くといった気軽に上れる方法がある。

 ロープウェイは車で乗り場まで行けば、山頂や9合目地点まで体力を使わずに運んでくれる優れた乗り物だ。ただし、雲海を見る目的でロープウェイを使用する場合注意する点が2つある。

 1点目は営業時間。ロープウェイの運営会社によって営業時間が異なり、雲海が出現する時間に間に合うかを調べておく必要がある。

 2点目は装備品を整えておくことだ。ロープウェイで山頂を目指す場合は、軽装備で挑んでしまう場合もあるが、それは非常に危険である。気温は高度が100m上がるたびに0.6℃下がり、ロープウェイの山頂駅に到着して平地と同じ服装をしていると寒さで雲海どころではなくなるだろう。

 地表付近は湿度が高いこともあり、ぬかるむ場合もあるので、靴も登山靴に準じる靴をはくことが望ましい。場合によっては雲海を構成する雲の高度が高く、霧に巻かれ視界が奪われる恐れもあるので、天気予報はしっかり確認しておこう。

霧に巻かれてしまった剣山観光登山リフト(徳島県)

 ロープウェイの他に、高い場所にある展望台へ行く方法もおすすめだ。ロープウェイの山頂駅に比べて高度が低いため、雲海に出合える確率は低くなるが、車の中で日の出を待つことができ、予備の防寒着を用意しておくこともできるので安心だ。

■自分の足で登って、雲海の絶景を手に入れよう

 雲海は息を呑むほどの幻想的な美しさを持っている。ぜひ一度その目で見てほしい。そして可能ならば、ロープウェイを使わずに登山で雲海の景色を見てほしい。もちろんロープウェイや展望台などは、気軽に雲海を見ることができる便利な施設だ。安全で、事前の準備も少なく済ませることができる。

 しかし、陽が昇る前の暗い登山口からヘッドライトの光を頼りながら山に登り、ぬかるみに足を取られながら息を切らして山頂にたどり着き、雲海を望む経験は得難いものだ。自分の力で登頂し、静かに雲海に見惚れる体験をしに山へ行こう。