■日向ぼっこしてる姿に“萌え”
数日ぶりに晴れて風も穏やかな日、うっすらと積もった雪道を登って生息地へ行った。目的地は南向きのガレ場だ。日当たりがよく、ポカポカとした陽気に眠気を誘われる。
耳をすませると、「ピィーッ」と鋭く澄んだ鳴き声がする。ナキウサギだ。目を凝らして岩場の周囲を見渡すと、視界の隅に素早く動く影! よく見ると、岩に同化するような小さな姿があった。
目が合っても慌てることなく、ぼんやり? と日向ぼっこをしている。愛くるしい! いったん隠れたかと思うと、また違う岩の隙間から出てくる。モグモグと枯れかかった高山植物をしきりに頬張っている。
冬仕度なのだろうか、夏に見るよりふっくらしていて、“もふもふ”度が増している。また違うところから鳴き声が聞こえ、そちらにも別のナキウサギが登場した。そんな感じで、時間が経つのも忘れてただ見入ってしまう。
ここは北海道の山中、もうすぐ白い雪にすべてが閉ざされる。厳しい冬を無事に乗りきれますよう、そう願いつつ満ち足りた気分で下山した。