ここ数日の冷え込みで、いよいよ本格的な冬シーズンも秒読み段階に入った北海道。朝日に照らされた「雌阿寒(めあかん)岳」も真っ白に冠雪していた。火山と湖と森が織りなす「阿寒摩周国立公園」。そのただ中にある雌阿寒岳は、標高1,499mでこのエリアの最高峰、日本百名山にも選出されている。
山頂へ続く登山道は全部で3つ。登山口からしばらくは神秘的な原生林のなかを歩く。標高1,000m付近でハイマツ帯となり、それを越えると視界が一気に開けて岩と砂レキの斜面となる。山頂部は火口を廻るように登山道が配され、噴煙たなびく迫力のある景色と360°の広々とした眺めを楽しめる。
今回はオンネトールートを往復した。比較的ゆるやかなルートで、日当たりのいい南面をメインに歩けるので、雪上歩行もしやすいだろうと予想しての選択だった。
森のなかに足を踏み入れると、色とりどりの落ち葉が積もった晩秋の森に低い光が差し込んでいた。冬直前の華やかさを感じる。4合目を過ぎるとトドマツの森に降ったばかりの新雪がうすく、はかなく積もっていた。
1,000m付近から上部は登山道上にも着雪しており、森林限界を越えると完全に雪山登山となった。8合目の阿寒富士との分岐周辺、吹き溜まりでは膝くらいの積雪量のところもあり、一番手の登山者はそれなりにラッセルを強いられたことが想像できる。麓では感じなかった風も、上部では強いときで10m以上の風速を体感した。
噴煙が立ち昇る火口も白く覆われている。降り積もったばかりの雪はまばゆく輝き、目にまぶしい。遮るもののない山頂付近からの眺めは格別だ。晴天に恵まれたおかげで青と白のコントラスト、着雪していない秋の森との境目がくっきりとわかり、秋と冬の境界線を目のあたりにできた。
オンネトーコース:登り3時間・下り2時間