北海道の東、阿寒摩周国立公園内に位置する屈斜路湖が、「ヒメマス」を狙う釣り人たちで賑わっている。日の出前のまだ薄暗い湖岸、有望なポイントには、すでにロッドを構えたルアーマンやフライマンがずらりと並んでいる。

■赤くいかつく変貌するヒメマス

まわりの紅葉に負けないくらい色づくヒメマス

 ヒメマスはベニザケの陸封型(降海しない)で、アイヌ語に由来して「チップ」とも呼ばれている。

 銀毛の綺麗な魚体でマス族の中でもおとなしい印象のトラウトだが、秋になり産卵が近づくと一気に変身する。ケバケバしいほど赤く染まり、とくにオスは口先が鋭く飛び出し(いわゆる鼻曲がり)、背中が隆起して(背っぱり)まるで別の魚だ。

 その変貌ぶりはまるで、クラスで目立たなかった地味な生徒が、恋をしていきなり大変貌を遂げたかのよう。

 屈斜路湖のヒメマスは、サイズこそ30〜40cmほどだが力強くファイトするので引き味も楽しめる。なによりも、紅葉に負けないくらい華々しく彩られた魚体は、写真映えが抜群にいい。手元に寄せたヒメマスを熱心に撮影している釣り人も多い。

美しいアメマスも釣れるのが魅力だ

 ポイントや釣り方によっては大型のアメマスやサクラマス、その美しさから「プラチナレインボー」と呼ばれることもあるニジマスも狙え、この時期人気の釣りのターゲットだ。