3,000m級の山々では各所で紅葉が始まり、シーズンも終盤戦に突入した。そんななか、南アルプス北部にある仙丈ヶ岳に、新スポットが誕生した。仙丈ヶ岳の山頂直下、標高約2,900mにある「仙丈小屋」の谷側に、展望を楽しめる木組みのテラスが設けられたのだ。

■困難を乗り越え、2021シーズンに滑り込みで完成!

仙丈小屋は、仙丈ヶ岳の山頂直下、籔沢カールの下に建つ。(撮影:清水俊一郎)

 そもそも林道の崩落により着工が遅れたり、いざ工事が始まっても天候不良によってヘリを飛ばせず資材を運搬できなかったりと、さまざまな困難に見舞われるなかで行われた今回のテラス工事。シーズン中に間に合わないという懸念もあったが、地元業者の尽力により、紅葉シーズン直前の9月上旬に無事に竣工を迎えることとなった。仙丈ヶ岳の新しい楽しみ方が生まれたことで、山小屋や地元関係者からは大きな期待が寄せられている。

■南アルプス天然水で淹れた、ドリップコーヒーで一服

仙丈小屋では、地元の食材を使った無添加のビスコッティが数量限定で販売されている。コーヒーとの相性は抜群だ。(撮影:松元麻希)

 仙丈小屋のテラスでおすすめの過ごし方は、麓の店「カフェ・コーデ」の自家焙煎コーヒー豆を使い、(リアルな?)南アルプス天然水でドリップされたコーヒーを飲みながら一服すること。シーズン終了が間近に迫っているため、密かに人気が高い「無水カレー」や「マルタバテロール」などの昼食メニューは終了しているが、山小屋限定販売の焼菓子などと一緒に、至福のカフェタイムを楽しもう。

■仙丈ヶ岳の紅葉の状況は?

今年の9月24日に、馬の背から山頂周辺を撮影したもの。登山道沿いのナナカマドが色づいていた(撮影:伊那市山岳高原観光課)

 南アルプス北部の紅葉は、北アルプスの涸沢カールや中央アルプス千畳敷カールほどの派手さはないものの、稜線を覆うハイマツとナナカマドのコントラスト、青空に映える黄葉など、しっぽりと趣深い景観を見せてくれる。紅葉人気スポットのように混み過ぎないのも、この山域の魅力といって良いだろう。

 ちなみに9月21日に仙丈ヶ岳へ出かけた際は、6合目を過ぎたあたりから紅葉が始まっていた。見ごろを過ぎる前に、この穴場の南アルプス北部へぜひ出かけてみてほしい。