■野営地を充実させる作業はマイホーム作りに似ている
設営場所選びと快適な空間を作り上げる時間は、どこかマイホームを建てる土地を決めて、住み良い家を設計する作業に似ている。日当たりが良く、地面がしっかり乾いていて平らであり、風通しの良い土地を選び出し(できれば景色も良ければなお良し)、快適なリビングスペースや各自が好みの部屋を作っていく。
共に過ごすメンバーは家族やシェアメイトのようなものだ。それぞれが快適な家を作るために、協力と努力を惜しまない。誰だって気持ち良く、楽しい時間を過ごしたい。まあ、サボっているメンバーがいれば、すぐにバレるので手は抜けないのだ。
パラダイスのような美しい無人の砂浜に泊まれるラッキーな日もあるが、ときに冷たい雨に濡れそぼった猫の額のように狭い岩場の上しか、宿泊場所の選択肢がない日もある。そんな時は、各自が持てる知識と技術を駆使し、与えられた環境をできる限り快適にするために全力を尽くす。
僕らのチームは長いこと一緒に出かけてはいるが、これまで野営地で誰が何をするのか、特に細かい打ち合わせや指示をしたりされたりした記憶はない。回数を重ねるうちに、いつの間にか得意なことを得意な人がやるスタイルに落ち着いた。料理が得意なメンバーが料理の準備に取り掛かると、釣りが得意なメンバーが獲物を獲りに出かけ、他のメンバーは水を浄水したり、薪を拾ったり。
この何気ない、しかしお互いがお互いのためを思って動く時間こそが、チームの団結力を高めているように感じてならない。
集団野営生活における暗黙の基本ルール
・ 必要なことを自ら考え、率先して動く
・ 得意なことを得意な人が担当する
・ 個人スペースは共有スペースを整えてから
・ 自分のことは各自で完結させる
・ ある程度の諦めも重要