■スリルと爽快感を堪能! ラフティング&カヌー体験
河川敷でランチタイムを取り、午後はラフティング&カヌー体験だ。
実は私は、川のアクティビティは初体験。表情に少し不安の色が浮かぶ私に、「大丈夫だよ。心配いらないから」と笑顔で言ってくださったのは、カヌーガイドの田中崇さん。陸上でパドルの持ち方や漕ぎ方、転覆したときの心構えなどを教わると、不安はだいぶ和らいだ。
いよいよカヌーに乗り込んだ。離岸すると、水にさらわれるように川の中心へと流されていく。慌てて必死でパドルを回すが、パシャパシャと水面を浅く掻くだけで、なかなか進まない。
「パドルをもう少し立ててみて! 縦に刺すように入れると、しっかり水を掻くことができるよ!」とガイドさんからアドバイスが。言われた通りにすると、安定して進めるようになった。
■全身で感じる水のパワーと美しさ
右へ、左へ。流れを見極めながら、カヌーを操作するのは意外と難しい。傍目からはゆっくりに見える流れも、中に入ってみると意外と波があり、ボヤボヤしていると流されてしまう。初めて知る水のパワーだ。
大きな水音が近づいてきた。
「もうすぐ瀬(せ=流れが早い場所)だよ。しっかり漕いで、真ん中をまっすぐ通過してね!」とガイドさんから声がかかった。
白波が立つエリアに突入すると、大きくカヌーが上下に揺れる。必死でパドルを漕いで舳先をまっすぐに保ち、なんとか瀬を突破した。
最初は戸惑うことも多かったが、少しずつカヌーをコントロールできるように。自然のダイナミズムを感じつつ、そこに自分が順応していく過程が楽しい。
時折、大きな波が来ると水がバシャッと舟の中に入ってくる。これは真夏にはたまらなく気持ちいいだろう。今度は夏に体験しにこよう。
瀬を抜けるとしばらく穏やかになった。ホッとひと息ついて、周囲を見渡す。
目線よりも上に道路があり、車や人、自転車が通り抜けていく。日常の風景を下から見上げるのは初めてだ。いつも見ている景色がまったく違ったものに感じられる。
自分のすぐ近くに水面があるのも不思議な感覚だった。少し傾き始めた午後の陽射しが、穏やかに波打つ水面を照らしてキラキラと輝いている。
いくつかの瀬を越えて、無事にゴールに到着。ゴール地点は千曲市の戸倉上山田温泉だ。水に濡れた後、目の前が温泉地というのはなんとも素晴らしい立地条件である。
初めてのカヌー体験は、とにかく無我夢中だったが、“生きている川”に触れたような興奮があり、新しい世界の扉を開いてしまった気分だった。
■長野市~飯山市へ。“日本一の川”の旅はまだまだ続く
ハード面の整備も進行中。写真は新設された「小布施リバーポート」
「中野市親水広場(中野リバーポート)」。広い芝生広場や千曲川の眺望広場がある
千曲川流域を旅するこのツアーは、2日間を通して行われた。残念ながら私は2日目には参加できなかったが、自転車で長野市から小布施市を通り、中野市まで約35㎞を走った後、飯山市までラフティング&カヌーを楽しんだという。
いま、千曲川では、カヌーやSUP、サイクリングなどの水辺アクティビティが楽しめる「リバーポート」の整備が進んでいる。2日目のスタート地点となった「長野リバーポート」は、長野市・屋代橋上流部の河川敷に新しく整備された親水護岸。また、須坂市の千曲川右岸側にも「須坂リバーポート」が整備された。中野市の笠倉壁田橋のたもとにも親水公園の整備が進んでおり、2028年度に完成予定だという。
小布施市は、江戸時代に千曲川の舟運が発達した交通の要所として栄え、独自の文化が築かれた街だ。また、里山に囲まれた飯山市は日本の原風景とも言える美しい自然景観が広がっている。私も次はこのルートを訪れてみたい。
“日本一の川”を水の流れを追って旅することで、流域に広がる景色、食や文化、人々の暮らしが、点ではなく線でつながって見えてくる。そこを自転車やカヌーで移動することは、千曲川というストーリーを紐解いていくようなワクワク感がある。
奥深い魅力をもつ千曲川。今後も季節を変えて繰り返し訪れ、少しずつそのストーリーを探っていきたい。