長野県須坂市にある「米子大瀑布(よなこだいばくふ)」は、国指定名勝、日本の滝百選にも選ばれている絶景スポットだ。

 「米子大瀑布」は、落差約90mを誇る「不動滝(ふどうたき)」、「権現滝(ごんげんたき)」の他、大小10本以上の滝があり、滝が作り出す絶景を求めてたくさんの人が訪れる。特に人気があるのは10月中旬から11月上旬にかけての紅葉シーズン。幅1kmに及ぶ断崖から流れ落ちる迫力満点の滝と紅葉が織りなす絶景が訪れる人を楽しませる。

 今回は、米子大瀑布駐車場から人気の「不動滝&権現滝」に加えて、15年間入れなかった「奇妙滝(きみょうたき)」を巡るハイキングコース、さらに滝の上に広がる根子岳の隠れた絶景スポットを巡った様子をお届けする。

■沢の水音と紅葉満喫の爽やかな遊歩道

 須坂市街地から車を走らせること約50分。うねうねと続く谷沿いの林道を抜けると、標高約1,300mに位置する米子大瀑布駐車場(無料・約50台駐車可能)に到着。紅葉シーズンの週末はたくさんの観光客が訪れるため、筆者は平日の午前中に足を運んだ。駐車場までのアクセスは車に限られるが、ハイシーズンの週末はマイカー規制により、シャトルバスでのアクセスとなるので注意。

 滝をめぐる遊歩道は1周約3km、2時間程度の周回コースだが、石畳や木道などできれいに舗装されているわけではない。ゴロゴロとした石や木々の根もあるため、足元を確かめながら慎重に歩みを進める。

 歩き始めて10分ほどで吊り橋が現れ、沢を流れる水音とともに鮮やかに色づいた木々が出迎えてくれる。吊り橋を渡る際は揺れるので、景色に気を取られすぎて踏み外さないように要注意だ。

駐車場から10分ほどで現れる吊り橋。沢の流れと紅葉が美しい

■滝と紅葉の共演!  米子大瀑布・不動滝&権現滝をめぐる

 紅葉の遊歩道を30分ほど歩くと米子(よなこ)不動尊奥の院に到着。「双龍(そうりゅう)の滝」として神聖視される米子大瀑布の2大名瀑「不動滝(ふどうだき)」と「権現滝(ごんげんだき)」はもうすぐだ。

 まずは、米子不動尊奥の院から右手に10分ほど登り「不動滝」へ。視界が開けた瞬間、目の前に広がったのは巨大な岩壁をシルクのように滑り落ちる柔らかな流れだった。不動滝は落差約89m、流れ落ちる細い水が落下途中で霧状となり、柔らかな流れになった様子から「白龍(はくりゅう)の滝」とも呼ばれている。

 ビュースポットまで近づくと、繊細な水しぶきがふわっと風に舞い、そのひんやりとした空気に身体が癒されていく。屏風のように広がった荒々しい岩壁と色鮮やかな紅葉、柔らかな流れの不動滝のコントラストは、まるで額縁に入った一枚の絵画のようだ。

落差89mの不動滝。シルクのようなきめ細かい霧状の流れが特徴

 余韻に浸りつつ遊歩道をさらに10分ほど進むと、今度は「権現滝」が現れる。権現滝は落差約82m、不動滝と対照的に太い水の束が一気に流れ落ちていく。ゴーッという大きな音が山間に響き、「黒龍(こくりゅう)の滝」と呼ばれるにふさわしい力強さだ。夏場は茂る葉に隠れがちだが、葉が落ちる秋はその豪快な流れをはっきりと拝むことができる。

落差82mの権現滝。一筋にまとまった力強い流れが特徴

 遊歩道を進み米子川(よなこがわ)を渡り、対岸の高台(かつての米子鉱山跡地)に登ると、不動滝と権現滝の2本を同時に眺めることができる。ただ、2本を写真に収めようとすると滝が日陰に入って見えづらく、なかなかに難易度が高い。筆者の撮影した写真も滝のある岩壁部分が暗部となって見づらくなってしまった。実際に訪れて、ぜひその目で楽しんでほしい絶景だ。

米子鉱山跡地から見た権現滝(左)と不動滝(右)