「Euro Velo(ユーロヴェロ)」を知っているだろうか? ヨーロッパ全域を網羅する長距離自転車道路網のことで、全19のルートで構成され、総延長は約9万km。41か国にまたがる壮大な自転車ルートである。
いま、この道路網に発想を得た自転車ルートの構想が日本で始まっている。その名も「Japan Velo(ジャパンヴェロ)」。日本全国に自転車網を整備し、観光や地域振興を促す狙いだ。
「Japan Velo」として今年9月に認定されたのが、長野県の千曲川沿いを走る「千曲川ルート」。上田駅(上田市)から飯山駅(飯山市)を経て、森宮野原駅(栄村)に至る全長125㎞で、「Euro Velo」で用いている評価基準で認定された国際基準のルートである。
この千曲川ルートを、自転車とラフティング・カヌーで旅するモニターツアーが開催された。千曲川北信の長野市、須坂市、中野市、飯山市、小布施町の5市町による、広域観光の推進や地域活性化を図る「かわまちづくり事業」の一環で、「千曲川北信5市町かわまちづくり推進協議会」が主催で行なわれた。
千曲川流域に整備された公園やリバーポートなどの施設を使って、アウトドアアクティビティを楽しむ。水陸両方から千曲川流域の魅力に迫るツアーの様子をお届けしよう。
■千曲川流域をつなぐ広域観光圏づくりの構想
ツアーの最初に、今回の企画や構想について説明があった。「Euro Velo(ユーロヴェロ)」には「長距離」「安全」という2つのキーワードがあるという。長距離を複数日かけて旅をするスタイルが人気ということ。そして、細い道や未舗装路であっても車通りが少ないなど、安全性を重視したルート選択がされているということだった。また、地域の魅力を体感できるルート選定も大切なポイントだという。
“日本一の長さ”を誇る信濃川は全長367㎞。そのうち長野県内の214㎞を千曲川と呼ぶ。この千曲川沿いには、上田市から長野市まで「県道上田千曲長野自転車道線」が通っている。自転車専用道なので走行快適性は抜群。さらに流域には豊かな自然景観、温泉、地域グルメなど豊富な魅力がある。加えて千曲川ではラフティングやカヌーなど「河川」ならではのアクティビティも楽しめる。
■観光スポットにも気軽に立ち寄れる! 自転車の機動力を活用
ツアーの出発地は、依田川と千曲川の合流点にある「丸子かわまち公園」(上田市)。用意された自転車は、電動アシスト付きのクロスバイク(E-バイク)だ。これなら坂道もラクに登れる。余裕をもって旅を楽しめるのがうれしい。
ガイドをしてくださるのは、信越自然郷アクティビティセンター所長の浅野慧さん。飯山駅にある同センターでは、アウトドアツアーの手配や、自転車などのレンタル事業をしているという。最初に浅野さんがE-バイクの操作方法や乗り方のコツ、注意事項などをていねいに教えてくれた。
朝はあいにくの天気で、小雨のなかをスタート。旧北国街道を走り、ほどなく上田駅へ。この上田駅が「Japan Velo千曲川ルート」の起点だそうだ。駅舎には、戦国時代、上田を拠点に活躍した真田氏の旗印「六文銭」が大きく描かれている。
駅前の情緒ある城下町の雰囲気を楽しむ。みすゞ飴本舗(飯島商店)のレトロな洋館が素敵だ。観光名所である上田城にも立ち寄り、紅葉が始まりかけた美しい城址を散策。発掘現場や櫓門を見学して歴史ロマンに浸った。
■想像以上に快適な千曲川サイクリングロード
上田城を見学した後は、ふたたび千曲川沿いへと戻る。
千曲川サイクリングロードに入った途端、パッと視界が開けた。当たり前だが、川の上には建物や山、電線などがない。それゆえ、すごく空が広いのだ。この解放感は川沿いの道ならではだろう。いつの間にか雨も止んで、雲のすき間から上田周辺の山々が見えてきた。
アップダウンが少なく体力的な負担が少ない。加えてきれいに整備されている。細かく設置された車止めや大きな段差など、サイクリストのストレスとなる要素が少ない。
「とても走りやすいですね!」と私が言うと、「この道が長野市まで20km以上も続くんですよ」と、ガイドの浅野さんが教えてくれた。
自動車の往来がないというのは、思った以上に精神的な安心感がある。思う存分、景色を堪能できるのがうれしい。天気もすっかり回復し、眩しい太陽と爽やかな秋の風を感じながら自転車を走らせる。日本でも、もっと自転車専用道や専用レーンの整備が進むといいなぁ、と心から思った。