◼️まだ歩けるなら、犬越路から檜洞丸へ

畦ヶ丸の山頂に展望はないが、静かな森歩きが楽しめる山だ

 西丹沢ビジターセンターから畦ヶ丸までのコースタイムは約3時間、往復では約5時間30分。最大高低差842mという、ほどよく歩きごたえのある中級者向きコースです。

 畦ヶ丸まで歩いて「もう十分」という人は、そのまま来た道をピストンで戻りましょう。一方で、まだまだ体力を持て余しているという人は、ここからさらに稜線を歩くルートも組み立てられます。

ここは東海自然歩道の一部

 今回は、もう少し稜線歩きを満喫したかったので、モロクボ沢の頭と水晶沢の頭を経由して、白石峠から西丹沢ビジターセンターへと下山するルートを取りました。こちらを選ぶと、コースタイムはプラス4時間、合計で7時間ほどになります。

気持ちの良いトレイルが延びている

 畦ヶ丸からバン木の頭まで1時間ほどは、緩い下りの稜線歩きが続きます。足元が滑りやすく、痩せ尾根の通過もあるので、雨の日や翌日の通過は注意しましょう。そこからの白石峠までの1時間半ほどは、ほとんどアップダウンのない、広々とした気持ちの良い稜線が続きます。

白石峠の分岐点

 東海自然歩道の一部なので、道は明瞭かつ手入れも行き届いており、定期的に休憩に最適なベンチも出てきます。ゴロリと横になって森を見上げると、つい昼寝をしてしまいそうなほど、気持ちがいいところです。

ブナの豊かな森を見上げる

 白石峠からは、小一時間ほど急な下りが続きます。下り始めて15分ほどで沢の源頭部が現れ、キンキンに冷えた沢水を汲めるポイントがあるので、忘れずに味わってください。

 そこからは、再び沢沿いの涼しくて快適な道が下山口まで続きます。最高でしょう?

下山道には、スリリングな一本橋もある

◼️体力派はもっと長いルートを組むこともできる

赤線が今回歩いたルート。他にも計画次第で、さまざまなルートがとれる

 ちなみに、犬越路(いぬごえじ)、さらに檜洞丸(ひのきぼらまる)まで足を延ばす方もいるそうですが、白石峠から先は地味なアップダウンが連続するだけでなく、鎖場や岩場も出てきます。単に「距離を延ばす」という感覚ではなく、かなりの体力派やトレイルランナー向けのロングルートと言えるので、ご注意ください。

 もう少し無理なく周遊を楽しみたいなら、畦ヶ丸から大滝峠上を経て、大滝橋方面へ下るルートもおすすめです。往路と復路で違う道を歩けるので、ピストンとはまた違った山歩きを楽しめます。下山道では、再び気持ちの良い沢沿いの道を通ります。登りで汗をかいた体には、沢から上がってくる冷たい空気が一層心地よく感じられるでしょう。

木道が整備されているが、雨が降ると滑りやすくなる。下りは特に注意

 西丹沢エリアの注意点としては、下りの斜面が急なところも多く、雨のあとは登山道がぬかるんだり、木の根や木道が滑りやすくなったりします。特に沢沿いは雨によって状況が変わりやすいため、普段以上に時間に余裕を持った計画を立ててください。天候や路面状況によっては、無理に周遊せず、ピストンに変更する判断も大切です。

 また、沢沿いにはヤマビルがいることもあるので、長ズボンを着用して、まめに足周りをチェックするなど、念のための対策をしておきましょう。

◼️残暑が厳しい日こそ、西丹沢へ

目撃情報こそ少ないが、クマ対策も忘れずに

 西丹沢は、派手な展望を楽しむ山域ではありません。でも、沢の音や水の冷たさ、森を抜ける風、そして歩き終えたあとの心地よい疲労感まで含めて、一日を楽しめます。そして、山歩きを終えたら、冷たい沢に足を浸してクールダウンできるのもポイント。火照った足を冷たい水につければ、それだけで最高の山歩きの締めくくりになります。

 次の休日は、少しだけ西へ。

 沢風に吹かれながら、ひと足早い秋を探しに出かけてみてはいかがでしょうか。