急峻な山々で知られる北アルプスでは、夏から秋にかけ登山シーズンの最盛期となる。3,000m級の山が連なる北アルプスへのチャレンジは簡単ではないが、その雄大な山容や稜線の美しさに魅了される人は多い。筆者もその一人で、初めて訪れた時から5年以上通い続けている。

 今回は筆者が北アルプスの虜になったきっかけともいえる絶景が見られるテント場を3つ紹介したい。

■槍ヶ岳・穂高連峰を望む雄大な景色!【蝶ヶ岳】

 北アルプスには「顔」となるような山がいくつも存在する。なかでも槍ヶ岳(やりがたけ・標高3,180m)や穂高連峰(ほたかれんぽう)は登山を楽しむ人なら誰もが知るランドマーク的な山だ。北アルプスの南東に位置する蝶ヶ岳(ちょうがたけ・標高2,677m)は、槍ヶ岳から穂高連峰にかけての大パノラマを目前に望むことができる。山頂部は起伏も穏やかで、山頂直下には蝶ヶ岳ヒュッテのテント場がある。

蝶ヶ岳山頂直下にあるテント場。ここからは富士山も望める

 蝶ヶ岳山頂までは東西南北に登山道が通っているが、筆者は安曇野(あずみの)市街からアクセスしやすい三股登山口から登った。山頂までは約4時間半の道のり。樹林帯がメインになるが、道中は「ゴジラのような木」などもあって楽しめる。登山口から標高差1,350mほどを登るため体力を要するが、危険な箇所は少なく、挑みやすい。

 山頂に到着すると、眼前に現れる槍ヶ岳や穂高連峰の眺望に絶句、その景色は息を飲むほどだった。蝶ヶ岳山頂から蝶槍までの区間は起伏も穏やかなため、体力に余裕があれば散策するのもいいだろう。

 筆者が蝶ヶ岳を訪れたのは7月で、夏場は午後に天気が崩れやすいことから早出早着を心がけたい。

蝶ヶ岳山頂付近は起伏が穏やかな稜線。どこをみても絶景が楽しめる

【三股登山口からのピストンルート】所要時間
三股登山口(0:00)→ 蝶ヶ岳(4:20)→ 三股登山口(7:26)
歩行距離: 約9.5km
累積標高差: 登り 1,382m、下り 1,382m
合計所要時間: 7時間26分

●【MAP】蝶ヶ岳

■岩の殿堂「剱岳」の絶景を堪能!【唐松岳】

 「岩と雪の殿堂」と謳われ、登山道としては日本最難関とも言われているのが剱岳(つるぎだけ)だ。その急峻で荘厳な山容を目前に望めるのが、唐松岳頂上山荘のテント場である。唐松岳は北アルプス北部の後立山連峰に位置する、標高2,696mの山だ。

八方尾根を登り詰めた場所から望む唐松岳山頂

 麓にある八方尾根スキー場のリフトを利用すれば、標高1,850mの八方池山荘まで一気にアクセスできる。八方尾根から唐松岳山頂を目指すルートは随所で素晴らしい眺望が広がり、絶景を楽しみながら登りたい人に最適だ。

  八方池山荘から唐松岳山頂までは約3時間40分。序盤は八方池の先にそびえる白馬三山(白馬岳、白馬鑓ヶ岳、杓子岳)を正面に望み、稜線まで登り詰めると、谷を挟んで剱岳や立山連峰の大パノラマが広がる。

10月中旬の唐松岳頂上山荘から望む大パノラマ

 斜面に階段状に広がる唐松岳頂上山荘のテント場は、テントの幕営地からいつでも絶景を楽しめるのが魅力だ。特に夕暮れ時は、剱岳の背後の空が真っ赤に染まり、山の上で一夜を明かすテント泊だからこそ出会える極上のコントラストを満喫できるだろう。

 なお、下山時はリフトの運行時間に遅れないよう、あらかじめ最終便の時刻を把握した上で行動したい。

【八方池山荘からのピストンルート】所要時間
八方池山荘(0:00)→ 八方池(1:00)→ 丸山ケルン(2:20)→ 唐松岳頂上山荘(3:15)→ 唐松岳(3:39)→ 唐松岳頂上山荘(4:05)→ 丸山ケルン(4:50)→ 八方池(5:55)→ 八方池山荘(6:40)
歩行距離: 約10.2km
累積標高差: 登り 1,048m、下り 1,048m
合計所要時間: 6時間40分

●【MAP】唐松岳