9月に入っても厳しい残暑が続いていますが、山の上は季節が着実に進み、少しずつ涼しくなってきました。

 そこで今回は、首都圏からアクセスしやすく、ロープウェイなどを使わずに高い標高から歩き始められる「八ヶ岳・権現岳(ごんげんだけ)」の日帰り登山ルートを紹介します。

 ポイントは、登山口の標高が高いことと、1日歩き続けても飽きさせないルートのおもしろさ。標高が高ければ、登り始めから下界より気温が低く、残暑の時期でも比較的快適に山歩きを楽しめます。

◼️スタート地点の標高は1,560m

中央自動車道から見える、この姿に見覚えはありませんか?

 今回の目的地は、八ヶ岳の南端に位置する権現岳(標高2,715m)です。

 東京から長野方面に中央自動車道を走っていると、とても目立つ存在なので、登ったことはなくても、その姿を見たことがある方は多いかもしれません。

 紹介するのは、標高1,560mにある観音平を起点に、反時計回りに三ツ頭〜権現岳〜青年小屋〜編笠山(あみがさやま)を周回するルート。コースタイムは約9時間半、高低差は約1,470mと歩き応えのしっかりある中上級者向けのルートです。

歩き出しを間違えないよう。三味線滝、天女山の表記を追いましょう

 首都圏から車で2時間ほどでアクセスできるため、アルプス方面まで足を延ばす時間はないけど、1日しっかり歩きたい。そんなときに、私はよく利用しています。

 このルートの魅力は、景色やトレイルのバリエーションが非常に豊かなこと。森歩きから始まり、稜線ではハイマツ帯や岩場を進み、最後は苔の森を下っていきます。

 もう少し軽めに歩きたい場合は、同じ登山口を起点に編笠山だけを往復するルートもあります。こちらのコースタイムは約6時間、高低差は約960mです。

◼️静かな森を抜け、まずは三ツ頭を目指す

登り始めは豊かな森の中、標高を上げていきます

 観音平からは、東へ向かって30分ほどトラバースします。

 観音平から登る登山者の多くは、まっすぐ編笠山方面に登っていくので、ここで間違えないように注意しましょう。こちらのルートは、比較的静かな山歩きが楽しめるのもポイントです。

権現岳の姿が見え始めます

 分岐を過ぎると、ひたすら標高を上げていきます。展望が開ける木戸口公園(標高2,282m)までは森歩きが続きますが、標高が上がるにつれ、周りの樹種が変化していくので、単調な登りではありません。表情を少しずつ変えていく、気持ちの良い森を楽しみながら歩けるでしょう。

◼️三ツ頭から先は、山の表情が一変

三ツ頭から望む権現岳。とんがり姿がかっこいい!

 標高2,580mの三ツ頭まで上がると、景色とトレイルの表情が一気に変わります。

 目の前にそびえる、とんがり姿が印象的な権現岳までは、ハイマツの海を漕ぎ、岩場を登りながら1時間ほど。ここまでの森の中の登りとは、まったく違う山歩きが楽しめるでしょう。

ハイマツの海を漕ぎ……
山頂は岩峰です。右側は切れ落ちているので注意

 近づくと犬の耳のようにも見える権現岳の山頂は、標高2,715m。観音平からここまで登ってくると、かなりの満足感があるはずです。ただし、山頂の東側は切れ落ちた崖なので十分ご注意ください。

鎖場やガレ場も通過する。雨の後は特に注意
この岩場の右側を下ってくる

 権現岳から青年小屋までは、岩場を越えながら1時間半ほど下りが続きます。鎖場やザレ場の通過もあるので、難易度としては、このパートがルートの核心部と言えます。時間に余裕を持って、慎重に進みたい区間です。

 周辺の植生は、観音平から三ツ頭までの樹林帯とはまったく異なります。9月上旬であれば、まだ花々を目にすることもできるでしょう。