長野県茅野市に位置する天狗岳(てんぐだけ)は、北八ヶ岳と南八ヶ岳の境界付近に位置する八ヶ岳連峰の人気の双耳峰である。一般的には標高2,646mの西天狗岳と、標高2,640mの東天狗岳を総称して「天狗岳」と呼んでいる。

 八ヶ岳らしい深い針葉樹林と、高山帯の岩稜歩きの両方を楽しめるのが大きな魅力だ。登山口からしばらくは苔むした森が続き、標高を上げるにつれて展望が広がり、森林限界を超えると一気に高山らしい景観へと変化する。

 山頂からは赤岳や横岳などの南八ヶ岳主峰群をはじめ、蓼科山(たてしなやま・標高2,531m)、北アルプス、中央アルプスまで見渡せることもあり、八ヶ岳屈指の展望峰として知られている。

 また、今回紹介する唐沢鉱泉(からさわこうせん)ルートは、下山後の秘湯を楽しみにしながら歩ける人気のコース。

秘湯・唐沢鉱泉から東天狗岳を目指すコースだ(国土地理院地図より引用)

●唐沢鉱泉へのアクセス

 今回の起点となる唐沢鉱泉は、長野県茅野市の山間部に位置する一軒宿だ。

 マイカーの場合は中央自動車道・諏訪ICから約40分。途中から未舗装区間もあるため、慎重な運転が必要だが、登山者用駐車場が整備されている。

 本コースは車利用が一般的であるが、公共交通機関でもアクセス可能。JR茅野駅からバスを利用し、桜平(さくらだいら)方面へ向かう方法となる。

 唐沢鉱泉が標高約1,870mの地点に位置するため、登山口ですでに空気はひんやりとしている。真夏でも爽やかな風が吹き抜け、避暑地としての八ヶ岳を実感できる場所だ。

【唐沢鉱泉から東天狗岳往復コース】所要時間
唐沢鉱泉(0:00)→ 第一展望台(1:30)→ 第二展望台(2:00)→ 西天狗岳(2:40)→ 東天狗岳(2:50)→ 唐沢鉱泉(5:00)
歩行距離:約6.9km
累積標高差:登り 872m、下り 872m
合計所要時間:5時間

■八ヶ岳らしい深い森と壮大な景色の天狗岳登山

唐沢鉱泉から、苔むす八ヶ岳の山中へと足を踏み入れる

●八ヶ岳らしい深い森を歩き展望台を目指す

苔とともに、鮮やかなピンクのイワカガミの群生を見ることができる

 秘湯として知られる唐沢鉱泉を出発し、八ヶ岳の人気峰・東天狗岳を目指す。第二展望台までは約2時間。長い樹林帯歩きが続く。

 登山道へ入ると、すぐに八ヶ岳らしい樹林帯が広がる。足元には苔が広がり、沢のせせらぎが聞こえる静かな森歩きだ。真夏でも気温は低く、汗ばむことなく快適に歩ける。

 緩やかな登りを繰り返し、ときに足元の高山植物を愛でながら高度を上げていくと、やがて出発から1時間30分で第一展望台へ到着する。樹林帯が続いてきただけに、視界が開けた瞬間の開放感は大きい。

 さらに30分ほど進むと第二展望台だ。木々の間から南八ヶ岳の山並みが見え始める。スタート地点では森に包まれていた景色が、標高を上げるごとに変化していくのが面白い。