◼️見学するだけではなく、自分の得意を活かして一緒に作る
龍神村のエコツアーは、メインコンテンツの一つとして「自分たちの遊ぶ登山道を自分たちの手で整備」しています。バリ島滞在中も僕はその特技を活かし、珈琲農園の新たな観光コンテンツとしてトレッキングコースを作れないかと、ホストのマデさんと一緒に周辺のジャングルを探索しました。
地元の人でもなかなか入らないような秘境に入り、草を掻き分け、倒木を切りながら進んでいくと、ワイルドな渓谷が現れてとても感動しました! 裸足で歩く原住民と一緒にジャングルを歩くなんて、普通のツアーでは体験できません。探検後は、珈琲農園と渓谷の入り口を繋ぐトレイルを整備しました。次に訪れる時には本格的なトレッキングコースを作りたいと思いました。
僕は素晴らしい景色を見られたことよりも、自分の得意なことや好きなことを、旅先で役立てられたことに感動しました。おもてなしされるだけでなく、こちらもなにかを提供することで、農園を盛り上げる仲間になれたと感じました。
龍神村に置き換えるなら、ただの登山道整備だけで終わらせてはもったいない。マップづくりや山での遊び方まで考えるなど、参加者の個性を活かした「コトづくり体験」にまで繋げたらよいのではないか。そのようなコミュニティがあれば、また何度も訪れたいと感じてもらえるのではと、ヒントをもらいました。
◼️地域課題は「人」とつながることで自分事になる
今回の旅の目的は珈琲豆の収穫体験でしたが、マデさん一家の生活も見せてもらえたことで学びがたくさんありました。滞在中は、気候変動で収穫量が減っていること、後継者不足で農園が減っていること、大規模農園に比べて小規模農園の経営が難しいことなど、珈琲豆を取り巻く社会問題をよりリアルに感じることができました。
マデさんの農園のような、小規模珈琲農園と共に歩んでいくには、焙煎士としてなにができるのでしょうか。ツアーを経験して交流を深めるうちに、単純においしい珈琲豆を買いたいというより、友達の生活を守りたいと感じるようになり、漠然と感じていた社会問題が自分事になった気がします。
龍神村のツアーでは、過疎化やそれに伴う登山道の荒廃などの社会問題も伝えたいと考えてきました。今後、参加者により自分事として感じてもらうには、どう伝えるかも大切です。マデさん一家のような、魅力ある地元の人と交流するなど、伝え方も重視したツアー設計が必要だと思いました。
◼️人との関係を持ち帰ってもらうツアーへ
これからの理想的なネイチャーツアー、インバウンド向けツアーの着地点は、「体験してもらうだけではなく、人との関係を持ち帰ってもらうこと」にあると思います。
地域のファンを増やし、関わり続けてくれる人を増やすには、地域の魅力を体験してもらうツアー内容だけが重要ではありません。ツアー後にも、自分ならその地域にこういうふうに関わりたい、一緒に課題解決に向かう仲間になりたいと思ってもらえることが大切です。
また、おもてなしする側にも、事前にツアー参加者と共通の話題を提供しておいたり、ツアー後に参加者と関わりを続けられる方法を用意したりと、双方の関係が続く仕組みづくりが必要です。
今回の旅で得た学びを龍神村のエコツアーにも活かし、地域を訪れるだけではなく、人とのつながりを持ち帰ってもらえるような体験を届けていきたいと思います。