10年前、僕は和歌山県の山間部にある龍神村に移住しました。現在は、豊かな自然環境と観光を組み合わせた「エコツアー」を企画、運営しています。
この夏、僕はインドネシアのバリ島で、ある素晴らしいエコツアーに参加しました。お客さんとして忘れられないほどの素晴らしい体験をしたことで、自分たちのツアーをより良くするためのヒントが見えてきました。
日本でのツアーにも取り入れられそうな、3つのポイントについて振り返ってみます。
◼️龍神村のネイチャーツアーが直面している課題
僕らがエコツアーを企画する時に意識しているのは、自然を体験してもらうだけでなく、地域ならではの歴史的な背景を伝えることです。豊かな自然だけであれば、日本各地にあります。シンプルに自然観察や自然体験を提供するだけでは、参加者に感動してもらえるほどのサービスにはならないと感じていました。
そこに加えるべきは、龍神村ならではの魅力的な人や地域との交流です。これこそエコツーリズムの醍醐味だとは思っていても、具体的にどのような交流をすれば、参加者の感動に繋がるのかがイメージできていませんでした。
しかし、今回、サービスを提供する側ではなく、サービスを受けるお客さんとしてツアーを体験したことで、これから目指すべきツアーのありかたが見えてきました。
◼️挨拶から始まる参加者と地元民とのコミュニケーション
僕は龍神村で「豆んと森珈琲」として焙煎も手掛けているのですが、今回は大阪でスペシャリティコーヒーを提供するショップ「euki」さんの案内のもと、バリ島に向かいました。
目的地は、バリ島のキンタマーニ地方にあるマデさん一家が運営する珈琲豆農園でした。約1週間、この農園に滞在しながら、珈琲豆農家さんの暮らしを体験させてもらったのです。
僕らが訪れた時期は、ガルンガンという日本でいうお盆の時期で、親戚の集まりや集落の集まりに家族のように迎え入れてもらい、お祭りにも参加させてもらいました。集落の村長さんには珈琲をご馳走になったり、偶然出会ったおじさんと一緒に山を歩いたり、家に招待してくれる方がいたり。出会う人みんなが温かく迎えてくれて、バリの人々の温かい人柄や暮らしを体験することができました。
特に印象的だったのは、事前に教えてもらった現地語の挨拶が、コミュニケーションのきっかけとして非常に役立ったことです。
「オム・スワスティアストゥ(はじめまして。あなたに神の加護がありますように)」や「スクスマ(ありがとう)」、「ジャアン(おいしい)」など、簡単な挨拶を交わすことが、知らない人と仲良くなるのにとても役に立ちました。ガイドに頼らず、自分から積極的に話しかけたことが、旅をより濃密にしてくれたのだと思います。
龍神村で僕がやろうとしている田舎暮らし体験や道普請イベントなどは、受け身で参加するツアーではありません。参加者が自発的にコミュニケーションを取り合って、作業に参加してくれた方が、体験の満足度が高い印象です。
今回の滞在を通して、挨拶をするなど、ツアーを受ける側のちょっとした積極的な行動の積み重ねが、主体的に動くことへとつながり、ツアーをより自分事にしてくれるのではないかと感じました。
僕らのツアーでも、参加者が地域の方々と会話をする機会を増やせれば、短いツアー時間でもお互いに打ち解けて満足度が高められそうだと思いました。