宮城県大崎市。JR陸羽東線(りくうとうせん)の有備館駅(ゆうびかんえき)から徒歩1分の場所に、伊達政宗ゆかりの城跡と由緒ある庭園が残されている。

 「岩出山城址(いわでやまじょうし)」は、伊達政宗が慶長8年に治府を移すまでの12年間、居城としていた岩出山城の跡地だ。現在は「城山公園」として整備され、遊歩道を行くハイキングや、四季折々の花が楽しめる市民の憩いの場となっている。

 その城山公園の麓には、国の史跡および名勝に指定され、一般公開されている「旧有備館および庭園(以下、有備館)」がある。庭園は、岩出山城の断崖を庭園の一部として取り込む借景(しゃっけい)の技法が用いられており、季節ごとに表情を変える風景を楽しめる。

 歴史ある城跡を歩き、静かな庭園でひと息つく――。この記事では、城山公園と有備館をめぐる半日散策コースを紹介する。

■往復40分のほどよい散策

城山遊歩道入口はこの橋の下を通ったすぐにある。入り口がやや分かりづらいので看板を目印にしたい

 JR陸羽東線・有備館駅で下車し、西側へ進むと有備館の駐車場が見えてくる。すぐ近くに橋がかかっており、その下をくぐると今回めぐる散策コースのスタート地点となる城山遊歩道入口がある。場所はやや分かりづらいが、案内看板が設置されているので目印にしたい。

遊歩道を進むと、木漏れ日の差し込む静かな山道が続いていく

 遊歩道入口から城山公園の山頂までは、往復で約40分のコースだ。舗装された道と土の山道が続いていく。急な登りは少なく、軽い散策感覚で歩けるコースだ。途中には木々に囲まれた細い山道もあり、城跡らしい静かな雰囲気を感じられる。

 鳥の鳴き声と、風に揺れる木々の音だけが響く空間は、観光地の喧騒とは無縁だ。伊達政宗が仙台へと治府を移した後、この地は第四子・宗泰に一万四千六百石余が与えられ、岩出山伊達家の祖となったという。

 こうした歴史に思いを巡らせながら歩くのも、城山公園散策の楽しみのひとつだ。

■山頂から見える、岩出山の町並みと穏やかな景色

城山公園の立像前広場から見下ろす、岩出山の町並み

 歩き始めて約20分で城山公園の伊達政宗立像前の広場に到着。山頂エリアである広場には「伊達政宗平和像」が建てられており、岩出山の町並みも一望できる。かつて伊達政宗も景色を眺めていたのだろうか。そう思うと、時の流れを感じずにはいられない。

 伊達政宗平和像は、一般的な勇ましい騎馬像とは異なり、扇子を持った穏やかな姿の伊達政宗を見ることができる。太平洋戦争後に造られたため、平和への願いを込め、穏やかな姿で造られたという。