梅雨の時期になり、アウトドア好きには悩ましい季節がやってきた。
雨音を楽しむ車中泊は風情があるが、一歩間違えると車内は水浸し、窓は結露で真っ白という悲惨な事態に陥りかねない。
一級建築士である筆者自身も、雨天での現場仕事の休憩時に濡れた泥靴の置き場を考えず、足元の「動線」が崩壊して車内を泥だらけにした苦い経験がある。さらに今回、自宅の駐車場で雨の日を想定した車内レイアウトの検証を行ったところ、想像以上の雨の吹き込みリスクや湿気の逃げ場のなさを目の当たりにして焦りを感じた。
そこで今回は空間設計のプロである一級建築士の視点から、車種を問わずやってはいけない「3つのNGな空間づくり」と「ゾーニング・換気術」を解説する。
■NG1. ドア直下の就寝スペース(出入りで寝袋が水浸しに)
雨の車中泊で最も避けたいのが、ドアの開口部直下の就寝スペースだ。トイレなどの出入りでドアを開けた瞬間、雨風が直接吹き込み、寝具があっという間に水浸しになってしまう。
一度濡れた寝具は車内ではなかなか乾かず、睡眠の質を大きく下げる。就寝スペースはドアの開閉ラインから奥まった位置にするか、出入り口を一つに絞り、そこから離すのが鉄則だ。
■NG2. 泥靴と居住空間の混在(動線崩壊で車内が泥だらけ)
脱いだ泥靴や濡れた傘を、居住スペースの足元に無造作に置くのはNGだ。車内で動くたびに泥汚れが広がり、生活のための移動経路が機能しなくなる、建築でいう「動線崩壊」状態になる。
これを防ぐには、助手席の足元などを「ウェットゾーン(濡れ物置き場)」に事前に設定し、濡れ物をまとめる工夫が不可欠だ。居住空間(ドライゾーン)に泥や水を一切持ち込まないことが快適性を保つ鍵となる。
■NG3. エンジンかけっぱなし換気(マナー違反と中毒リスク)
次に車内の換気についても考えてみよう。雨の日は窓を大きく開けられず車内が結露してじっとりとした不快な湿気に覆われやすいが、一晩中エンジンをかけてエアコンで車内を乾燥させようとするのはマナー違反だ。
周囲への騒音に加え環境への配慮を欠く行動はさけるべき。排気ガスが車内に逆流すると体にもよくない。アイドリングに頼らなくても、適切な設計とアイテムがあれば、安全な換気は十分に可能である。
■解決策:どんな車でも応用可能! プロが教える「ゾーニング&換気術」
快適な空間作りの鍵は、居住用の「ドライゾーン」と濡れ物を置く「ウェットゾーン」の明確な分離(ゾーニング)だ。
換気は、対角線上にある窓をドアバイザーの範囲内で数センチ開け、風の通り道を作る。そこに小型のUSBサーキュレーターを置き、車内の湿った空気を強制的に外へ押し出す仕組みを作ろう。
電源は大容量モバイルバッテリーやポータブル電源を使用する、またはバッテリー内蔵型のものを選べば、エンジン停止時も結露を最小限に抑えられる。
プロの視点を取り入れた空間設計で、少し憂うつになりがちな雨の車中泊も特別な秘密基地になる。ぜひ次回の車中泊で試してみてほしい。