■「見えない・滑る」を防ぐ視界と足元の確保

つば付きの防水帽子

 雨天時はウェア同様、視界と足元の対策が重要だ。怠れば重大な事故に直結してしまう。視界の確保には、雨粒をさえぎるつば付きの防水帽子が欠かせない。また、眩しさを抑え目への負担を軽減してくれる偏光グラスも、目の保護と快適な釣りのために導入したい。また、堤防や磯での釣行では、万が一の落水に備えてライフジャケットを着用すること。

 足元は、濡れた堤防や海藻の付いた斜面は氷のように滑るためスニーカーは厳禁だ。堤防ならラジアル(凹凸のあるゴム底の形状)、荒れた場所ならスパイクなど、環境に合わせた専用シューズの着用を推奨する。ただし、スパイクシューズでも絶対に滑らないわけではないので注意しよう。

 筆者は湿った磯場で足を滑らせ、竿を折った苦い経験がある。装備を過信せず、滑りやすくなっていることを念頭に置き、慎重な足運びを心がけたい。

■命を守る釣り場での「撤退」基準

 それほど荒れるといった予報でなかったとしても、天候は急変する。釣り場で少しでも危険を感じたら、すぐに撤退する勇気が必要だ。

 そして、見逃してはならない危険のサインが雷である。釣竿は電気を通しやすいカーボンなどの素材で作られているため、遠くで雷鳴が聞こえた時点で、直ちに車や建物へ避難しよう。

 ここで重要なのが、雷の光と音の時間差による距離の把握だ。光ってから音が聞こえるまでの時間をカウントすることで、落雷の危険がどこまで迫っているかを客観的に判断できる。音速を毎秒約340mとして計算すると、光ってから音がするまで「3秒なら約1km」の場所に雷雲が存在していることになる。雷鳴が聞こえた時点で10km地点まで迫っており、落雷の可能性もあるため、聞こえた時点で非難するのが賢明だ。

 また、河口付近で「急に水が濁った」「大量のゴミが流れてきた」場合は、鉄砲水や急激な増水のサインだ。予報になかった突風や高波など、これらのサインが見られたときは早めに撤収しよう。「せっかく来たから」という考えは命取り。釣果よりも自分の命を最優先し、撤退の決断は早めに行おう。

<参考資料>
気象庁 はれるんライブラリー(雷の光ってから音がするまでの距離感について)
https://www.jma.go.jp/jma/kids/kids/faq/a3_16.html
ウェザーニュース (雷鳴の距離の可能性のある距離)
https://weathernews.jp/s/topics/202008/200235/

■釣行から帰宅した後の「5分」が道具の寿命を決める

レインウェアや傘用の防水スプレー

 雨の日の釣りは、帰宅して終わりではない。濡れた道具を放置すれば一気にサビや劣化が進むため、帰宅後の5分間の手間が道具の寿命を大きく左右すると覚えておこう。

 まずはリールや使用したルアーを真水で洗い、水分を拭き取ろう。現場で持ち込む道具を最小限にまとめていれば、この片付けの負担も劇的に軽くなる。

 また、レインウェアの手入れはメーカー推奨の方法に従うのが基本だ。適切な洗濯やドライヤーなどを使った熱処理に加え、撥水スプレーや洗濯機に入れる専用撥水剤なども使用し、次回の釣行に備えたい。

 事前の準備から勇気ある撤退、そしてていねいなメンテナンスまでを徹底して行い、雨を味方につけて記憶に残る最高の一匹を手にしてほしい。