■古代ローマ人の信仰と生活の足跡をたどる散歩道
チェリオの丘の古代ローマ遺跡の中でも最も重要とされているのが1世紀の神聖クラウディウス神殿で、丘を囲む城長い壁は神殿を支える目的も兼ね備えていて、古代ローマの建築技術を知るうえでも貴重な遺構の一つといわれている。その城壁を眺めながら、門をくぐってチェリオ地区の重要な建築物が残るエリアへと歩を進める。ほどなくして、サンティ・ジョバンニ・エ・パオロ聖堂のファサードが見えてきた。
教会の正面右手の鐘楼の下に、時代が異なる白い石の台座が見えるが、実はこの石はクラウディウス神殿の一部で、神殿の西側の遺構の一部が教会の建物に組み込まれているのだそうだ。教会と古代神殿の一部は互いに連結され、多層構造の壁で支えられているということだった。
一方、教会内部に足を踏み入れてみると、天井から吊り下げられたたくさんのシャンデリアが輝くバロック様式の芸術で彩られていた。現在目にしているのはバロック様式だが、実はこの教会の起源は古く、1世紀から2世紀にかけて建てられた建物の跡地に、398年に元老院議員ビザンティウムまたはその息子パンマキウスによって建設が始まったとされている。また、この建物は当初、キリスト教共同体のドムス・エクレシアエ(教会の住居)として使用され、後に殉教者ヨハネとパウロの埋葬地となったのだそうだ。
サンティ・ジョバンニ・エ・パオロ聖堂のファサードと鐘楼。右下の白い石造りの土台が古代ローマのクラウディウス神殿の一部
鐘楼下の扉の窓から覗き見た神殿の多重構造の壁
教会内部は中世〜バロック様式。床のモザイクは12〜13世紀のコズマーティ様式