山梨県では例年4月上旬、桜と桃の開花期が、数日間だけ重なり合う。笛吹市の「八代(やつしろ)ふるさと公園」と韮崎市の「桃畑」で出会える、異なる春の風景を紹介する。

■桜と桃が重なり合う春の「10日間」

 山梨県には、桜と桃、それぞれ異なる春の風景を楽しめる花見スポットが点在する。例年、笛吹市では桜が先に咲き始め、韮崎市ではその頃に見頃を迎える。この差が生まれる理由は、標高や地形の違いによる気温差にあるという。両者の見頃にはわずかな時間差があり、例年4月上旬の限られた期間だけ、その移ろいを同時に感じられる。今回は期間限定ではあるが、どちらの花見スポットも楽しめる距離にある2か所を紹介する。 

■笛吹市の「八代ふるさと公園」は、桜と古墳の絶景スポット

桜に包まれた古墳の丘。その先に甲府盆地が静かに広がる

 笛吹市にある「八代ふるさと公園」は、御坂(みさか)山地と甲府盆地の交わる丘陵地に位置する。園内にある古墳の頂上部からは南アルプスや八ヶ岳、広がる甲府盆地が見渡せ、空と風を感じる開放的な景色が広がる。 

なだらかな古墳の稜線に、春の静けさが満ちている

 4月上旬に訪れたこの日は、園内の桜がちょうど満開を迎えていた。第一駐車場に車を停めると、目の前には芝生に覆われた古墳が広がる。なだらかな古墳は頂上まで歩いて上がることができる。右手には約300本の桜が植えられた「桜の森」と、樹齢約330年の「甲州蚕影桜(こうしゅうこかげざくら)」、さらに遊具が設置された「親水広場」がある。

 古墳の上から見下ろすと、甲府盆地の縁をなぞるように桃の木々が広がり、蕾と咲き始めの花の濃いピンクが重なる。桜のやわらかな色と、これから色づく桃の気配が同時に感じられる、まさに季節の移り変わりの瞬間。写真では両方の色を一枚に収めるのは難しいが、現地ではその対比をはっきりと体感できる。