今年の夏は稀に見る涼しさで快適だったローマでも、9月に入って突然暑さがぶり返してきた。日の当たる場所では32℃前後と真夏の暑さだが、幸いなことに湿度はそれほど高くなく、風も吹いているため、日陰を選べばとても気持ちの良いウォーキングが楽しめる。家でじっとしているのが勿体無いような週末の1日、緑を求めてちょっと離れたパンフィーリ公園まで足を延ばしてみることにした。

■観光客がほとんどいないローマっ子たちのオアシス

 下町トラステヴェレからバス・トラムなど公共交通で30分弱、カザレット駅から徒歩10分。もしくはヴァチカン方面を通っている市バス31、33、180Fなどを利用すれば公園入り口があるレオーネ13世通りのバス停に停まる。ジャニコロの丘の西斜面に位置し、旧市街から離れた住宅街に囲まれたヴィッラ・ドーリア・パンフィーリ公園は、都市公園としてはローマで最も広い面積を誇る。その規模は著名なボルゲーゼ公園よりも100ヘクタール以上大きい(※面積だけを見ると、郊外のアッピア街道広域公園、ピネート広域公園に次いで3番目)。

 ボルゲーゼ公園と同様に、この公園も17世紀の大貴族パンフィーリ家の別荘として整備されたのが起源となっていて、同家出身の教皇イノチェンツォ10世の時代に最盛期を迎えた。園内には、古代ローマ時代から中世時代の遺跡が点在するほか、バロック建築の傑作「カジーノ・デル・ベル・レスピーロ」やバロック芸術の噴水・彫刻などが配備された庭園など、歴史と自然が調和した美しい景観が随所に広がっている。1965年と1971年にローマ市が周辺の土地を取得して整備し、現在では公共公園として一般公開されている。旧市街からちょっと離れた場所にあるため園内に観光客の姿はほとんどなく、ローマ市民が日常的に散歩やジョギング、ピクニックなどを楽しむ憩いの場として人気の公園だ。

レオーネ13世通りのバス停で降りるとパンフィーリ公園の西門まですぐ

ローマのシンボルでもあるイタリアカサマツの並木が続く遊歩道

読書やピクニック、犬の散歩など、誰もが思い思いの過ごし方で満喫している

レオーネ13世通りを挟んで2つに分かれる公園内をつなぐ橋

ジャニコロの丘の斜面に位置する高台にある公園からはローマ市街と周囲の山のパノラマも見られる