■17世紀の芸術的な庭園空間を体感
西側の門から歩き始め、公園内の遊歩道を半周したところで、この公園の名前ともなっているパンフィーリ家の「ヴィッラ(豪華な別荘)」が見えてきた。建築と庭園が一体となった「バロック様式の理想」を体現した、と言われるこの建物は『カジーノ・デル・ベル・レスピーロ』と呼ばれ、現在はイタリア政府が所有するバロック芸術・建築の傑作として知られている。通常内部の見学は不可だが、年に何度か実施される予約制のガイドツアーに申し込めば、邸宅内と幾何学模様の庭の一部を見学することもできる。
アレッサンドロ・アルガルディやジャン・ロレンツォ・ベルニーニなど著名なバロックの芸術家たちも建築に関与した17世紀の建築『カジーノ・デル・ベル・レスピーロ』
彫刻や噴水などは修復中で見られなかったが、この庭園は人物像、動物像、神話をモチーフにした装飾で彩られているらしい
ファサードと外部の繊細な装飾が美しいパンフィーリ家礼拝堂
この庭園を歩けば17世紀のバロック芸術の息吹を感じ取ることができると言われている 残念ながらこの日は庭の各地に点在する噴水や彫刻などが修復中で、どこも白い布が張り巡らされていてその姿を見ることは叶わなかった。ローマ・バロック芸術が庭園空間として具現化された貴重な例とも言われるヴィッラ・ドーリア・パンフィーリの庭園。修復が完了して、その全貌が見られるようになった頃にまた訪れることに決めて庭を出た。
再び公園の遊歩道に戻り、アヒルや白鳥、大量の亀や鯉が生息するジリオの湖を脇に見ながら公園入り口へと戻ることにした。足の疲れを感じてきたが、地図を見るとまだ公園の4分の1程度しか歩いていない。出発地点の門の手前まで来ると、お腹も鳴り出した。なんとなく、ここを離れるのが名残惜しい気持ちもあったので、目の前のビストロでランチをしてから帰ることにした。週末の朝のひとときを自然の中でたっぷり遊んだ満足感に満たされながら、料理が運ばれてくるのを待った。
文・写真/田島麻美
<参考情報>
Villa Doria Pamphilj(ヴィッラ・ドーリア・パンフィーリ)の開園時間は季節によって変わる。10月〜2月>7:00-18:00、3月と9月>7:00-20:00、4月〜8月>7:00-21:00
Casino del Bel Respiro(カジーノ・デル・ベル・レスピーロ)の予約方法はイタリア政府の公式サイトで確認できる。https://www.governo.it/en/visiting-institutional-palaces/visiting-casino-del-bel-respiro/casino-del-bel-respiro-bookings-and