2025年9月、軽井沢の街に「ステイクール軽井沢! 自然を守ろう!」という声が響きました。プラカードと風船を手に笑顔で行進する約60人。主催はMarch for the day 2025 実行委員会で、代表はソルトレイク五輪スノーボード日本代表の橋本通代さんです。
「雪を守りたい」という思いから始まった活動が、若い世代を動かし、小さな声がうねりとなって広がっています。
■スノーボーダーの「雪を守りたい」から始まった気候マーチ
 
再エネ100%と公正な社会をめざす 「ワタシのミライ」気候危機アクションウィークに賛同して始めた軽井沢での気候マーチは、今回で3年目の開催です。
「雪を守りたい。本気で地球温暖化を止めたいんです」と橋本さん。スノーボードやスキーを楽しむ人にとって雪は命。その雪が年々減っていく現実を目の当たりにしてきた切実な思いです。2026年には冬季オリンピックが開催されますが、このまま温暖化が進めば、雪上競技そのものが危機に瀕する可能性もあります。
橋本さんが目指すのは「人も自然も誰もが自分らしく生きて輝いていける世界」。そして2030年までが勝負の年だと言います。
「若者を含めた全ての人がこの問題に向き合っているということを表現し、発信することが重要なんです」
橋本さんのアプローチはユニークです。大きな変化には国レベルのシステムチェンジが必要。だからこそ地域でできることとして、行政との協働関係を築くことに注力しています。
「フレンドリーなコミュニケーションを心がけています。私たちはあなたを後押しするというポジションで、より大きな力を持つ人たちに政策変更などの大きな変化を促していきたい」。対立ではなく協働で、地域から大きなシステム変革につなげていく戦略です。
■午前は創作と体験、午後は学びと対話
 
イベントは午前と午後の二部構成。午前中は段ボールでプラカード作り、ネイル&フェイスペイント、シルクスクリーンプリントなどを楽しみました。そしてサイクリングマーチ。自転車にプラカードを取り付けて軽井沢の街を走ります。爽やかな風を感じながら、環境について考える時間でした。
午後からは学びの時間。開会式では軽井沢町環境課長から町の環境への取り組みを紹介。続いて有限会社軽井沢衛生企業による、学校給食の生ごみを堆肥化する「はらぺこくんの土」など環境課題への取り組み紹介がありました。講演後、ユナイテッド・ワールド・カレッジISAKジャパンの高校生たちから積極的に質問が飛び交いました。
町民も行政も民間も、それぞれができることを一歩ずつやっている。その取り組みを知ることの大切さを実感しました。
橋本さんは言います。
「多くの若者が気候変動に関心を寄せている。特に質問や対話ができる関係性を築けることに大きな意味を感じています」。高校生たちは「止めなきゃいけない」という危機感を持ちながら、具体的なアクションを考え、未来を見据えた質問ができる。その主体性には目を見張るものがありました。
 
     
       
     
     
     
     
         
         
         
         
        