キャンプ場や山小屋でふと夜空を見上げたとき、漆黒の闇を一筋の流星が横切る。その光景に子どものころ、大人から“流れ星が消えるまでに願い事を唱えると叶う”と教えられた記憶を思い出す人も多いだろう。
その流星が降り注ぐ天体ショーが、間近に迫っている。「三大流星群」のひとつ「しぶんぎ座流星群」だ。2024年12月下旬に始まり、翌年1月初旬にピークを迎え、夜空を駆け巡る多くの流星が見られると期待されている。しかも、最も多く流星が出現する日時に月が早く沈むため、(21時すぎ・東京)好条件で観察できるチャンス!
今回は、小学生で天文に興味を持ち、現在でもキャンプでは星を眺める時間を欠かさない筆者が流星群の仕組みや観察のポイント、また「しぶんぎ座流星群」を楽しむために、最も観察に適した日時や立地条件などを仙台市天文台職員へのインタビューを交えて解説する。
■そもそも流星群は、なぜ毎年同じ時期に起きるのか?
流星群は毎年同じ時期に起きる天文現象だが、「なぜ、毎年?」と思う方も多いのではないだろうか。流星群の発生原理は、太陽系を周回する彗星がまき散らした塵の帯と、太陽の周りを回る地球の公転軌道が関係している。年に1回これらの軌道が交差する際、大気圏に突入した塵が燃焼し、流星になるといった仕組みだ。なお、地球が彗星の軌道を横切る日時は毎年ほぼ決まっているため、毎年同じ時期に出現するのだ。
「しぶんぎ座流星群」の母天体(流星群の元となる物質を放出する天体)は、小惑星(2003 EH1)とされている。しかし、この天体がどのように塵を放出して、流星群の元になっているかは解明されていない。
■知って驚く! 流星の正体
驚くことに流星のもととなる塵の大きさは砂粒程度であり、直径数mmから1cm以下が一般的だ。これらの粒子が秒速数十kmという高速で大気に突入することで発光し、流星として見える。
流星が燃え尽きる高さは、地表からおおよそ80〜100kmの上空。なかでも火球(かきゅう)は、流星に比べて明るく光り、時には音を伴う。筆者が目撃した最大の火球は、緑色のまばゆい閃光と、ロケット花火のような音を放ちながら夜空を流れ、余りの凄さに腰を抜かしたほどだ。
■観察に適した立地条件
流星群の観察に適した場所としては、都市部でも全天が見渡せる場所があればよいが、できれば光害の少ない環境で見てほしい。特に1月3日から1月4日にかけて山やキャンプ場で過ごす方にとっては絶好のチャンスで、より多くの流星が見られる可能性が高い。また、自宅でも空が暗くひらけていれば、手軽に観察できるのでおすすめだ。