何事においても“初めて”は必ず存在するもの。今回は釣り経験“ほぼゼロ”の親子の、海釣り初挑戦の模様をお伝えしたい。釣行に挑んだ過程や予想を超えた成果を参考に、これから始めてみたい人にとって最初の一歩を踏み出すきっかけになればと考えている。きっと「自分にもできそうだ」と感じてもらえるのではないだろうか。
■船に乗るのも初めて。海からの景色に早くも感動
今回挑戦したのは、釣り経験がほとんどない親子。息子は過去に磯釣りを1~2回経験した程度で、母は釣り自体がほぼ初めてである。
「釣りはしてみたいけれどハードルが高い」と感じていた二人を、経験者である筆者夫婦が東京湾の船釣りへ案内したのだ。一度は船での釣りをぜひ体験してもらいたい、そして夏休みの思い出になればとの思いを込めて誘い出したのだ。カニをエサにする落とし込み釣りでクロダイを狙う。
船に乗ることも初めての二人は出港前からやや緊張気味だったが、桟橋を離れると一気に非日常の世界へと引き込まれていった様子。実際に乗ってみると分かるが、海側から臨海都市や建造物を眺めると、陸から見る景色とはまったく違う迫力があるものだ。この日は曇り空ながらもみなとみらいやベイブリッジをはじめ、遠くには富士山までも望めた。ポイントに向かうまでの親子は、スマホで写真や動画を撮り続けるほど感動していた。
■まずは竿の持ち方から! 船長と経験者が丁寧にレクチャー

ポイントに到着すると、船長と経験者から竿の持ち方を教わった。
「こうやってリールを握って……」「仕掛けは壁ギリギリに落とすんだよ」と、落とし込み釣りの基本を丁寧に説明してくれる。
カニのつけ方ももちろん初めての作業。小さなカニの尻から針を通すのだが、最初は手元がおぼつかない。揺れる船上では立っているだけでも必死で、狙った場所にエサを落とすのは難しい。思わぬ位置に落ちたり、糸が絡んだりとトラブルも続いた。それでも母も息子も何度もやり直し、少しずつ感覚をつかんでいった。
アタリが来た瞬間、母は「何とも言えない高揚感でいっぱいになるね」と興奮気味。「あ、来た!」と焦って合わせが早すぎたり、逆に遅れたりと、初挑戦ならではの失敗も笑いに変わっていく。針に掛かったクロダイの引きは想像以上に強力で、母は「こんなに動きのある釣りだとは思わなかった」と驚いていた。筆者が親子を見ていて感じたのは、初心者にとって「焦らず落ち着くこと」と「繰り返し挑戦する根気」が何よりのコツだということだ。道具や技術よりも、まずは失敗を恐れず試してみる姿勢が上達につながると実感した。