■大きなくちばしにサングラスと髭のような模様「シメ」

シメは、全長約18cmほどの小型の鳥で、ずんぐりとした体形と大きなくちばしが特徴だ。主に木の実や種子を食べるため、落葉広葉樹や公園の木々で見かけることが多い。群れで行動することもあり、複数羽で移動している姿は初心者でも見つけやすい。観察の際は、枯れ木や低木にとまっている群れを探すと効率的だ。
シメのくちばしは非常に力が強く、硬い種子も砕くことができる。冬になると、都市部の公園や河川敷にもやってくるため、注意深く見てみよう。
■枯れ葉の中を歩いて虫を探す「ツグミ」

ツグミは秋に渡来し、冬までの間日本各地で見られる中型の渡り鳥だ。体は褐色で斑点があり、地面をついばみながら移動することが多く、公園や庭、河川敷で観察できる。
観察ポイントは、落ち葉が積もった地面や芝生の上だ。静かに近づくと、餌を探す様子を間近で観察できる。渡来後、冬の間に体力を蓄えるために、果実やミミズ、昆虫を探して食べる。日本にいる間は鳴き声を出すことは少なく、口をつぐんでいることからツグミと名づけられたという説がある。
■仲睦まじい? 日本一美しいカモ「オシドリ」

オシドリは、秋に北方からやってくるカモ科の美しい鳥だ。オスはオレンジ、白、緑などさまざまな羽色をもち、メスは地味な灰色をしている。川や池、湖の水辺で群れを作り、比較的観察しやすい種類だ。都心でも新宿御苑内の池に毎年飛来しているので、観察できる可能性は高い。
観察のコツは、水辺の浅瀬や流れの緩い場所で静かに待つことだ。朝や夕方、エサを探して活動する時間帯がおすすめ。オシドリはペアで行動することが多く、一見オシドリ夫婦の言葉通り仲睦まじく見えるが、その実はメスがほかのオスに奪われないよう見張っているからだとも言われている。
■バードウォッチングを始めるなら秋が最適!
夏が過ぎて気温が下がると、暑さをしのぐため物陰で静かにしていた鳥たちが活発に活動するようになる。また、木々から葉が落ちることで枝にとまった鳥たちも見つけやすくなるため、秋は渡り鳥観察に最適な季節だ。
今回紹介した種は初心者でも見つけやすく、観察の楽しさを存分に味わえるはずだ。特徴的な行動や体色、鳴き声を覚えれば、身近な公園や庭先でもバードウォッチングは楽しめる。双眼鏡を手に、静かに自然に目を向けることで、秋の日本にやってくる渡り鳥たちの姿を堪能できるだろう。