◼️住む場所は、ヒマラヤの奥地!?

そもそも、どこに住むのか。ネパールとひとくちに言っても、さまざまなエリアがある。ヒマラヤの山岳地帯もあれば、ジャングルのようなところ、広大な平原地帯もある。東西で気候も違えば、文化、風習も異なるのだ。
たとえば、ヒマラヤの奥地の村であれば、朝はチヤ(ミルク入りの甘いお茶)で体を温め、日中は畑や家畜の世話をし、夜は家族や近所の人と囲炉裏の火を囲む、なんて風景も想像できる。でも、それはあくまでイメージであって、実際に住むこととはまた違う。暮らすとなれば、買い物は? 交通手段は? 病院は? といった現実がついてまわる。

僕が住みたいと思ったのは、ただネパールに長く滞在したかったからでも、農的暮らしがしたかったわけでも、資本主義経済から距離を置きたかったわけでもない。
「より深くネパールを理解したかった」からだ。
旅人の目線では見えてこないもの、手に入れられないものを、生活を通じて手にしたかった。だから、文化的にも社会的にも多様な人々が集まっている場所がいい。
■日本で言うなら東京? 大阪?

ネパールで住む町を考えるとき、まず真っ先に浮かぶのは首都カトマンズ。これはもう、日本でいう東京だ。人口約85万人とネパール随一で、全土から人が集まってくる。ごちゃごちゃと雑多だけれど、不自由なく暮らせるし、文化的な接点も豊富にある。刺激を求めるなら、やはり首都だ。

次に思い浮かぶのはポカラ。人口約51万人の国内第2の都市で、日本でいうなら大阪。もちろんポカラの人が大阪的なノリかというと、そういうことではまったくない。あくまで立ち位置が大阪、という話。
ポカラは大きな湖が中心に広がり、アンナプルナの山々を真正面に望むことができる。空気もカトマンズよりきれいで、観光客からの人気も高い。雰囲気でいえば、北アルプスの麓に住むような感じだろうか。自然環境を重視するなら、かなり魅力的だ。

そして、カトマンズのすぐ隣にあるパタン。古都として有名で、歴史的建造物が街のあちこちに残っている。日本でいえば京都。古都の風情をまといながら、カトマンズ中心部へもすぐ行けるという立地は、生活をイメージするうえで強い。ネパールの京都に住む。なんだか良さそうじゃないか。

もうひとつ忘れてはいけないのがバクタプル。こちらも古都だが、カトマンズから12kmほど東側にあり、日本でいえば奈良だろうか(あくまで僕の主観です)。観光で訪れる人は多いけれど、街そのものは落ち着いていて、時間の流れもゆるやかだ。住むことを考えると、このほどよい静けさは、かえって心地よいかもしれない。
候補としてはこの4つ。東京、大阪、京都、奈良、こうやって日本に置き換えてみると、なんだか一気に身近に思えてくる。