釣って楽しく、食べて美味しい夏のターゲットといえばシロギス。なかでも、晩夏から初秋にかけての「落ちギス」の季節は見逃せない。

 落ちギスとは、産卵を終えた個体が体力回復のために接岸し、荒食いを始めるタイミングのこと。キスの群れが浅場に寄るため、遠投せずとも釣果が期待でき、比較的ラクに数釣りが楽しめるのが魅力だ。

 しかもアタリが明確で、初心者でも楽しみやすい。海水浴のピークも過ぎ、浜辺が静けさを取り戻すこの時期に、身近な砂浜で釣りデビューしてみてはいかがだろうか。

■【釣り場と道具】近くのサーフ(砂浜)でOK!

必要な道具はこれだけ。シンプル装備で気軽に楽しめるシロギス釣り

 釣り場は駐車スペースのあるような波打ち際で十分。朝夕の涼しい時間帯が釣りやすく、特に夕方は焼けた砂浜に注意しながら楽しもう。

 道具はシンプルでOK。全長3〜4m程度の投げ竿に2000〜3000番のスピニングリール。仕掛けは市販の投げ釣り用3本針仕掛けを選び、オモリは20号前後、ジェット天秤やL型天秤が扱いやすい。

 釣具店で販売している投げ釣りセットなら価格も手頃なので、すぐに始められる。エサはジャリメ(砂虫)やアオイソメ(青虫)をカットして短く付けるのが基本。

●ポイント選び

左右からの波がぶつかり合う地形。所々に深みができており、好ポイントとなる

 キスは群れで行動するため、1匹が釣れたらその周辺に多くの魚がいる可能性が高い。アタリがなければ、少しずつ仕掛けの投入ポイントを変えたり、移動しながら群れを探そう。

 水温が高くなる夏場は、川の河口周辺や波打ち際が狙い目となる。こうした場所は川の水が流れ込むことから水温が比較的安定し、酸素量も多いことからキスの集まりやすい条件が揃っている。

 また、海岸の波打ち際をよく見ると砂浜が海に向かって「出っ張った場所」と「引っ込んだ場所」があるのが分かる。砂浜の出っ張った場所の沖合は海底が浅く、砂浜の引っ込んだ場所の沖合は海底が深くなっていることが多い。そうした境目には“カケアガリ”と呼ばれる地形変化があり、シロギスのエサとなるゴカイ類・小型の甲殻類などが集まりやすいためキスの好ポイントとなる。

波打際近くの砂紋地帯は酸素量・エサともに豊富

 波打ち際に明確な変化が見つけられない場合は、キャストする方向や距離を変えながら広く探ってみるのがよい。海を見渡してみると、白っぽく見える場所とそうでない場所、波立ちの有無、海中にうっすら見える岩など、地形のヒントがある。

 また、リーリング中にオモリが「グーッ…… ピョン」と跳ねるような感覚があれば、それは海底に大きな砂紋や深みがある証拠だ。そうした海底の変化ある場所にキスは付きやすい。また、波打ち際近くは波で砂が巻き上げられ、酸素・エサともに豊富なので、こうした場所も好ポイントとなる。

■多点針仕掛けで連掛けを楽しむ

3尾、4尾と一度に掛かるのもシロギス釣りの醍醐味

 手返しの良さはキス釣りの醍醐味の一つだが、シーズン最盛期となる夏場は「連掛け」にチャレンジするのも楽しい。3本針仕掛けを使い、エサの付いた複数の針を手返しよく動かすことで、1投で2尾、3尾を掛けることもできる。

 慣れてきたら、さらに釣り針の数を増やして連掛けに挑戦!  L型天秤を使えば仕掛けが絡みにくくなるので、連掛け初挑戦には扱いやすくオススメだ。

●釣り針を飲まれたら、どうする?

針を深く飲まれても焦らず。指をエラに入れれば簡単に外せる

 活性が高いシロギスは、エサに一気に食らいつくため、釣り針ごと飲まれてしまうことがある。無理に引き抜こうとすると喉やエラを傷め魚が弱ってしまうので、リリースをする場合にはよくない。そんな時は、針外しや細めのラジオペンチが頼りになる。また、エラの中に親指と人差し指を「グッ」と入れ込むと、喉元の針が意外なほど簡単に外れることがある。指先で感触を確かめながら慎重に行おう。いずれにしても、針外しは携行し、魚を無理に傷つけない方法を心がけたい。