暑さも落ち着き、涼しさを感じる秋は魚の動きも活発になる。
「食欲の秋」を釣りで実践する、秋の海で食べておいしい魚を狙ってみよう。今回は筆者の住む東北の海で狙える秋におすすめの魚5種を紹介する。
●おすすめの魚の釣り方と料理
■1. タチウオ
●釣り方:テンヤ仕掛けとルアーで狙う、目指せドラゴン級!
群れに当たると数釣りができる。また浅場にも回遊してくるので、狙いやすい魚だ。「タチウオテンヤ」と呼ばれるオモリ付きのハリ仕掛けにイワシやサンマを針金で巻きつけてセットし、あたかも本物の魚のように操作して釣るテンヤ仕掛けが主流。
そのほかジグやワームを使用したルアーフィッシングにも好反応を示す。船で沖に出れば釣りやすいが、堤防からでも十分な釣果が得られる。
タチウオの大きさは体長ではなく、指何本分という具合に体高で表現する。平均指3〜4本、指5本以上は「ドラゴン」と呼ばれる。タチウオは夜行性で夜釣りが基本となるので、安全を確保して釣りを楽しんでほしい。
●料理:【塩焼き】上品でクセのない、口の中でほろっとする柔らかな白身を味わう
定番だが、タチウオの塩焼きは絶品だ。鋭い牙を持つ怖い見た目のわりに、非常に上品でクセのない淡白な白身の味わいにギャップを感じるのも魅力。塩を振ってシンプルに焼き魚で食べてみよう。
【天ぷら】天ぷらもふわふわとしたタチウオの身と相性抜群だ。塩に少しつけて素材の味を生かして食べるのも良いが、たっぷり天つゆをかけ天丼にするのもおすすめだ。
■2. ブリ
●釣り方:ブリクラスは船で、堤防からのルアーにも好反応を示す!
大型のブリとなると、やはり遊漁船に乗ってジギングで狙うのがおすすめ。ポイントの水深や潮の速さにより、ジグの重さは前後するので船長や周りの人からアドバイスをもらうと良いだろう。
船釣り以外にも、堤防や地磯などの近場でも釣り上げるチャンスは多い。ミノーなどにも食いつきがよいので、ルアーで手返しよく狙ってみよう。ブリは全国にいる出世魚であるが、地方によって呼び名が異なる。ちなみに筆者の住む秋田県沿岸ではワカシ(15〜20㎝)、イナダ(30〜40㎝)、ワラサ(60㎝)、ブリ(60㎝以上)と呼ばれている。
●料理:【煮つけ】たれの味付けでも差が出る定番の家庭料理
新鮮なものほど生臭さは気にならないが、青魚特有の臭みが得意ではない人は、生姜を多めに入れてみよう。じっくり煮込んだもの、短時間の火入れでそれほど染み込ませないもの、自分好みの煮つけ方でいただくのも楽しい。
【から揚げ】もうひとつのおすすめはから揚げだ。ブリの唐揚げはあまり一般的ではないが、筆者が最初に食べた時のおいしさは目から鱗だった。
作り方は鶏のから揚げと同様、にんにくや塩、生姜などで下味をつけて片栗粉や薄力粉をまぶして竜田揚げ風に揚げる。最後に黒こしょうでピリッとさせるのがコツ。
■3. サワラ
●釣り方:砂浜や堤防からルアーで釣れる身近なターゲット
秋のサワラは脂がのっていて美味である。ボートで沖に出てルアーキャスティングで大型を狙う人もいるが、堤防などの身近なポイントでも釣れる。キラキラしたものに反応がよいため、スピンテールジグなどのルアーで狙ってみよう。
またサーフや堤防、海釣り公園などでもコンスタントに釣れるので、釣具店やSNS等で事前に情報をチェック。漢字で「鰆」と書くように春が旬の魚だが、通年釣れる。特に秋は釣りやすく、味もよいため釣りたてをぜひ味わってもらいたい。
●料理:【刺身】鮮度がいいうちにいただく刺身は炙っても美味
釣った魚をその場で締めて冷やして持ち帰れば、十分新鮮さを保てる。釣りたての刺身が食べられるのは釣り人の特権だ。サワラの刺身はとても美味しいので、締め方を事前に予習してから出かけてほしい。皮はバーナーで炙ると香ばしく、さらに美味しくなる。
サワラもブリ同様、出世魚で地方によって呼び名が変わる。釣り人の間でサワラと呼ぶのは70㎝以上とされる。
【西京焼き】西京焼きはサワラ料理の定番で、とても美味しい。西京味噌に酒・みりん・砂糖を加えた「味噌床」にサワラの切り身を漬けて冷蔵庫で数日寝かせる。取り出した切り身についた味噌をキッチンペーパーなどで拭き取ってから焼くだけ。
簡単で美味しいのはもちろん、鮮度が落ちやすいサワラを日持ちさせるために生み出した先人の知恵がつなぐ伝統料理である。数匹釣れた際には刺身と合わせて、西京焼きもぜひ楽しんでもらいたい。