■ギリシャ神話と七夕伝説の意外な調和
●雨の日の遣い鳥カササギ
七夕の夜は、雨の日が多い。気象庁の統計によると、晴天率はわずか20%程度だ。
雨が降ってしまうと、天の川を渡れなくなってしまう織姫と彦星。新古今和歌集には「七夕の日に二人を哀れんで、カササギという鳥が翼を連ねて、天の川に橋をかけた」と記されているという。
カササギとはカラスの仲間である。図ったかのように、2つの星のすぐ近くには「カラス座」という星座が控えている。東洋と西洋のいわれが計算されたかのように、奇跡的な配置をしているのである。
●2人の間にはキューピッドの矢があった
織姫のベガと彦星のアルタイルの間には「や座」という星がある。弓矢の矢の形をした星座で、一説には愛の神キューピッドが放った矢であるともいわれている。これも西洋と東洋の伝説が見事に一致した例である。
こうした話がいくつも残るのは、夏の星座には、国や時代を問わずロマンティックな輝きを感じられる力がある証拠だろう。
■天体観測のすすめ

星には単純な瞬きの美しさだけではなく、さまざまな伝説やいわれがある。天文学やギリシャ神話など星にまつわる分野から夜空を眺めてみると、ユニークな考察や解釈も生まれ、天体観測がより楽しめる。
キャンプの夜は長い。大切な仲間や家族と星をめぐる夜話を楽しんでみてはいかがだろうか。