喧騒から隔離された大自然の中で見る星の瞬きは格別だ。キャンプの夜に眺める星空もまたきれいで、特に夏の夜空は天の川が観測できる。仮にあなたが星空を一緒に眺める相手に「でも織姫って本当は“メンヘラ”だったかもしれないよ」なんて切り出したとしたら……。笑いに包まれる夜が生まれ、星の見方さえも変わるかも。今宵は、天文学とあわせて七夕伝説の考察をお話ししたい。
■織姫はブランド好きの女性だった?

「織姫」で知られる星・ベガは「こと座」の一等星だ。西洋のたて琴に見立てられた星座で、ギリシャ神話では、琴の名手・オルフェウスが使っていたものといわれている。元をたどると、琴をつくったのは、ギリシャ神話に登場するヘルメス(Hermes)なのだそうだ。つまり織姫は、ギリシャ神話では“Hermes製”ということになる。Hermesは、フランス語読みをするとエルメス。かの高級ブランドの名前である。
そもそも織姫は、はた織り職人だったとされている。天空で一番偉い神様・天帝に献上していたという着物は、さぞ高級なものであったに違いない。ひょっとしたら身の回りも、高級なもので溢れかえっていたのだろうか……。
■彦星と織姫はメンヘラカップルだった?

「彦星」で知られる星・アルタイルは、「わし座」の一等星だ。肉眼で観察できる恒星のひとつであり、猛スピードで「高速自転」していることでも知られる。その様子を想像するたび、七夕伝説にある「織姫は彦星と出会って以来、はた織りもやめて働かなくなった」という話を思い出し、織姫のわがままに振り回されているような彦星の姿を勝手に想像していたのだが……。
ところが、アルタイル同様、織姫のベガもまた、猛烈な速度で自転していると天文学界隈ではいわれており、その速さは、ベガが自壊する限界速度の94%にも達しているとか。
彦星と織姫。2人は、七夕の夜に会える日が待ち遠しいあまり、自壊寸前になるほど高速回転しあう“メンヘラっぷり”が感じられてならないのだ。