■江戸の宿場町に現れた奈良井宿の奈良井橋
宿場の南端にひっそりと架かる橋が「奈良井橋」。地元では、「奈良井宿の錦帯橋(きんたいきょう)」、あるいは「太鼓橋」として親しまれている。
この橋は、山口県岩国市にある日本三名橋の一つ「錦帯橋」を模して作られた木造のアーチ橋である。規模こそ本家に及ばないものの、形状は見事なまでに再現されており、観光客の目を引く存在となっている。まさか、江戸の宿場町の中に、こんなユニークな建造物が潜んでいるとは。
奈良井橋が建てられた目的は、江戸時代の街並みの中に調和するような美しい構造物を設けることであった。もともと奈良井川を挟んで分断されていた町をつなぐために建設されたこの橋は、単なる交通手段ではなく、地域のシンボルとなっている。
橋は全体が木造でありながら、アーチ状の曲線が巧みに設計されており、木材の温もりと曲線美が融合する芸術的な造形となっている。この橋のたもとに立てば、思わず足を止め、カメラを構えたくなるに違いない。

■中山道・鳥居峠越えが教えてくれること
中山道の鳥居峠越えは、現代の便利さからは決して見えないものが旅路に詰まっている。江戸へ向かう旅人たちが見たもの、感じたことを現代の私たちも追体験できる、希少な道なのだ。

【薮原駅から奈良井宿】所要時間
薮原(0:00)→鳥居峠頂上(2:00)→奈良井宿(3:30)
歩行距離:約6.0km
累積標高差:登り 約300m、下り 約300m
合計所要時間:3時間30分
【薮原駅までのアクセス】
JR中央本線薮原駅下車