●財布に優しい実力派!  100均ルアーで渓流の野生ヤマメに挑む

 トラウトルアーフィッシングではロッドやリール、ルアーといった細々とした道具が必要となる。なかでもルアーは釣果に直結する大事なアイテムといえるが、釣り場では岩や木に当たることが多く、破損や劣化しやすい消耗品でもある。そんなルアー買い替えのランニングコストをできるだけ抑えたい人は多いはずだ。

 そこで筆者がおすすめしたいのは、DAISO の「ミノー(5cm)」だ。野生ヤマメは本当に釣れるのか?  筆者が実際に渓流で試したリアルな実釣レビューと共に気になる性能や使い心地を詳しく紹介しよう!

■道具に宿る“美学”とリアルな経済事情

今回使用したダイソー「ミノー」。2種のカラーパターンを試した

 「例えばこのミノーなんか、とってもアクションがいいよ」

 筆者がルアーワレット(ルアーを収納するアイテム)を開けて見せる。

 「あ、そうなんですか。でも……、僕まだお金があんまりなくって」

 最近よく一緒に釣りに行く、今年大学を卒業して就職したばかりの若い釣り仲間との会話である。

 ルアーにせよ、フライにせよ、トラウトフィッシングの世界には「美学」というフレーズが色濃く漂っていて、道具にこだわりだすとお金がいくらあっても足りなくなる。

 かくいう筆者のルアーワレットにも高価なハンドメイドのミノーがズラリと鎮座しているが、それも長年かけて少しずつ揃えてきたもので、先述のような若者や、トラウトルアーフィッシングを始めたばかりの人たちにとって、一個1,000円以上する有名メーカーのミノーを何個も揃えるのは経済的な負担が大きいに違いない。

 「100円ショップのミノーって、使えるのかな?」

 先述の若者と釣りに行ってから数日後、以前から気になっていたことを実際に試してみようと思った。ターゲットは筆者が常日頃から遊んでもらっている渓流に棲む神経質な野生のヤマメ、いわゆるネイティブトラウトだ。

 中学生の頃にバスフィッシングにハマって以来、海、湖、川とフィールドを変えながら色んなジャンルの釣りを経験し、約40年の歳月が経過した筆者が「これだ!」と思ったアイテムがダイソーの「ミノー(5cm)」である。その使用レビューを紹介する。

■ミノーの気になるスペックをチェック

今回は「ミノー」2個のみで実釣した

 いざダイソーで2個購入。「Minnow Lure(ミノー)」というぶっきらぼうすぎるネーミングが愛らしい。

 見た目の形状は断面が丸っこい、いわゆるロール系、なんとなく昔なつかしい香りが漂う。全長5cm重さ2.6g。同クラスの有名メーカー製品が4~5gなのに対してかなり軽量である。渓流ルアーフィッシングではこの1~2gの差は色々な面で大きな影響があるから決して見逃せない。

 パッケージの裏面には「着水したらゆっくりとリールを巻きます」とあるが、渓流でヤマメを釣るにはまるでネコをじゃらすかのように水中でトリッキーな動きを演出する必要がある。はたしてこのミノーは激しいロッドアクションに耐えられるのだろうか。

■フローティングタイプだった!!

アクリルケースに浮かべて記念撮影

 さらに驚いたのが、水面に浮かぶフローティングタイプであったことだ。ここ30年くらいトラウトルアーの主流は水中に沈むシンキングタイプで、フローティングはあまりない。

 ただ、30年以上昔に遡れば、渓流用ミノーのほとんどがフローティングタイプだった。意外な仕様にマニア心がくすぐられる。もしかしたらダイソーは筆者のような古参アングラーをターゲットにこの製品を作ったのかもしれない。

 また、気になっていたのがフック(釣り針)の針先の鋭さだ。ブラックバスのように吸い込むようにしてルアーを口に入れる魚と違い、ヤマメはかみつくようにアタックするため、針先の鋭さは非常に重要なポイント。筆者が入手した「ミノー」のフックは十分使えるもので事前に交換する必要はなかった。