■ミノーのポテンシャルはいかに

筆者がメインフィールドにしている南九州の渓流では、3月の解禁以降、4月上旬までまとまった雨がほとんど降っておらず、川はどこもひどい渇水状態で、この日もタフな釣りがしいられた。そんななかではあったが、以下にダイソー「ミノー」の使用感を列挙する。
・飛距離、投げやすさは小規模渓流であれば問題ない
この日試したフィールドは、最大で約15m程度キャストすればよい小規模な渓流だったが、この規模であればスムーズにキャストでき、飛行姿勢もよく、ピンポイントを狙うコントロールキャストも問題なく行えた。
・流れの速い激しいポイントには不向き
フローティングタイプであるため、流速の速いポイントだと水面直下よりもう少し下の層、いわゆるヤマメが釣れやすいとされる「食い波」までルアーを到達させることができないことがある。
・よいアクションをさせるためには少しのコツが必要
シンキングミノーとは違い、水中で浮き上がろうとするため、キャスト直後にまず1~2回「キュッキュ」と竿先を動かすようなロッドアクションでルアーを水中に潜らせる。その後、竿先を小刻みに動かす軽めの「トゥイッチ」や竿全体をあおってルアーをスライドさせる「ジャーク」などで誘うことが必要。
流れが比較的速い場所では少々扱い方に工夫が必要ではあるが、水深の浅いポイントや、流れの緩い場所では非常に扱いやすい。浅場ではフローティングミノーの方が有利といえる。
■不機嫌な魚たち

ダイソー「ミノー」の予想外ともいえるスペックに反して、この日の魚たちはすごぶる機嫌が悪く、入渓して小1時間は全く反応がなかった。漁協による放流が一切ないネイティブフィールドでは、こんなふうに突然ヤマメが釣れなくなることがたまにある。
「もしかしてボウズ……」
そんな不安が頭をよぎり始めた直後、やっとのことでヒットしてくれたのはカワムツ。普段なら何も考えずにリリースするのだが、初ヒットがうれしくて、思わずアクリルケースを出して記念撮影。

しかし、その後どんどん状況は悪化してゆく。普段なら白泡を立てながらとうとうと流れている渓流に水はほとんどなく、まるで水たまりのよう。

最悪の結果を覚悟しながら釣り上がると、小さなプール状のポイントでエサを探しながらクルージングしている(動き回っている)ヤマメを発見した。この日初めてのチャンス。息を殺してキャストし、「パンパンパン」とルアーにアクションを加えるとなんなくヒット。やっとの出会いにほっと胸をなでおろした。
アクリルケースに入れて、ヤマメをしげしげと眺める。不規則な配列のパーマークはネイティブの特徴の一つだと言われている。「ミノー」のブルーバック・ホロを添えて記念撮影し、元の流れにリリース。結局この日はこの一匹で終了となった。
■ダイソー「ミノー」は十分使えるルアー

結論として、ダイソー「ミノー」は、筆者のように水量の少ない源流域をメインに釣りをするアングラーであれば先発ローテーションに加えてもよい十分なスペックがあった。
また、初心者や経済的余裕のない釣り人にとっても、数個持っていればきっと活躍する場面があるはず。
山岳渓流へ出かける際は、ぜひ、ダイソー「ミノー」をルアーローテーションに加えてトラウトルアーフィッシングを楽しんでもらいたい。
【使用タックル】
ロッド:4.9ft渓流用ルアーロッド
リール:2000番のスピニング
ライン:フロロカーボン0.8号
ルアー:ダイソー「ミノー(5cm)」