■山頂からは絶景!「鉢伏山」って、どんな山?

 長野県岡谷市と松本市の堺に位置する標高1,929mの鉢伏山(はちぶせやま)。北東には美ヶ原、南には高ボッチ高原がある。厄除けで有名な「牛伏寺(ごふくじ)」が鉢伏山の西側中腹にあり、牛伏寺を起点とする「牛伏寺ルート」がメジャールートだ。他にも鉢伏山の北東から登る「扉(とびら)温泉ルート」がある。今回は「牛伏寺ルート」を利用し、人気の「鉢伏山荘」に泊まった様子を紹介する。

■牛伏寺の奥から登山スタート

駐車場の写真。筆者は9時ごろ到着したが、他に車は1台のみだった

 牛伏寺を通り過ぎてすぐの「鉢伏山手前駐車場」に車を停めて、登山を開始(1〜3月の冬期は無料)。牛伏寺参拝者用の駐車場とは異なるので注意 。駐車場付近にトイレはないので、事前に済ませておこう。駐車場から10分ほど車道を進むと、「牛伏寺砂防ダム登山口」に到着だ。

登山口からすぐの様子。落ち葉と雪が混じっている

 登山口からしばらく歩きやすいが、落ち葉が多いため斜面が滑りやすかったり、一部凍っている場所もあるので注意が必要だ。筆者は念のため、歩き始めからチェーンスパイクを装着した。登山道の途中から動物避けの柵が現れる。ゲートを開けて進むので、通過したあとは備え付けの鎖でしっかりと施錠しよう。

細いトラバース道。慎重に進もう

 1時間ほど登るとだんだん雪が増えてきた。雪質は締まっていて登りやすい。シカやキツネなど小動物の足跡も観察できるため、登っていて楽しい道だ。

■急な尾根は慎重に

鉢伏山の危険箇所である急な尾根。写真は下山時のもの

 鉢伏山の数少ない危険箇所は「横峰(よこみね)分岐」手前の急な尾根道だ。ロープが張ってあるものの細くて頼りないので、体重はかけずにあくまで補助程度に使用しよう。ここはチェーンスパイク・軽アイゼンが必須だ。しっかり雪に噛ませて歩を進めよう。ストックがあるとより歩きやすい。

■車道に出るとゴールはもう少し!

画面中央に小さく見えるのが「鉢伏山荘」

 急な尾根道を越えると車道に合流し、斜度も緩やかになる。しばらく進むと開けた場所に出て、山荘や山頂が見えてくる。ここまでくればもうひと踏ん張りだ。シカの足跡がところどころにあり、運が良ければシカの群れを見ることができる。

■冬期の「鉢伏山荘」でゆっくり温まろう

喫茶と宿泊時の食事スペースとなる小屋
喫茶メニュー。筆者の同行者たちには「おしるこ」が人気だった

 約3時間ほどで「鉢伏山荘」に到着。中は薪ストーブと石油ストーブで暖かく、冷えた身体をゆっくり休ませてもらった。もともと鉢伏山荘は夏季のみの営業であったが、2022年の12月より冬期営業を開始している。

 1月〜3月の週末のみという限定営業ながら予約でほぼ満室状態。山仲間の間では「泊まりたくても泊まれない山小屋」となりつつある。

喫茶棟の横にある宿泊棟。一階部分がトイレになっている

 宿泊棟はコンクリート造りのモダンな小屋だ。一階部分にトイレがあり、外に出なくて済むのはありがたい。この日は水道管が凍結しており、配ってもらった携帯トイレを便座に設置して使用した。

 筆者の宿泊した2024年2月末は夜間の外気温がマイナス18℃まで下がり、朝方確認すると枕元に置いておいた水がカチカチに凍っていた。しっかりとした冬山装備が必要だ。小屋には敷布団2枚、掛け布団1枚、毛布2枚のほか、7人分まで寝袋の貸し出しがあり、消灯時には1人ずつ湯たんぽを配布してくれるので、朝まで暖かく眠ることができた。