岩手県と秋田県にまたがる高原大地、八幡平(はちまんたい・標高1,613m)。その頂上付近に、5月中旬からわずか数週間、雪解けの時期にだけ現れる神秘の光景が「八幡平ドラゴンアイ(鏡沼)」である。登山経験が初心者レベルでも、きちんと準備すれば、この絶景を拝むことは可能だ。ただし、春に開通する山岳道路「八幡平アスピーテライン」を通り抜け、ドラゴンアイを見物するにはいくつか注意が必要。そして、ぜひ味わいたい名物カレーがあるので合わせて紹介する。

■4月15日に開通する八幡平アスピーテラインを駆け抜け、頂上へ

 アスピーテラインは八幡平の頂上付近を通り、岩手県から秋田県まで横断する道路であり、例年4月15日に開通する。有名な絶景ポイント「八幡平ドラゴンアイ(鏡沼)」は、例年5月下旬がベスト。車で標高約1,541mの八幡平山頂レストハウス駐車場(有料・500円)へ向かおう。途中、「雪の回廊」や「源太岩」などの見どころもあり、各展望台からの景色もフォトジェニックだ。

 そこからドラゴンアイまでは徒歩で約20分の道のり。しかし、このわずかな距離がちょっとした難所であり、準備と注意が必要だ。 

■ドラゴンアイに出会うための必要な準備と注意点

ドラゴンアイに出会うために雪道を登る。足元はグズグズのシャーベット状

 まずは履いていく靴に注意したい。ドラゴンアイへの道のりは、春にも関わらず雪原である。多くの観光客が訪れて歩きまわるため、雪道の表面はグズグズに崩れ、シャーベット状になっている。急勾配の場所もあり、長靴や防水の冬用ブーツは必須装備だ。山頂レストハウスでは長靴のレンタル(有料)も行っている。

 また風が強く寒い日もあるため、防風の上着も必要だが、雪道を約20分も登り続けると逆に暑くなることもある。tenki.jpのデータによると、八幡平の頂上付近の気温の平均値は、4月が最低−4.7℃〜最高1.8℃、5月は最低−0.1℃〜最高10.6℃だ。

 最大のチェックポイントは天候だ。映える写真を撮るなら晴れた日のほうがドラゴンアイの水面が色鮮やかになる。山頂が荒天になると視界が悪いどころか、歩くことさえ難しいこともあるので、出発前に到着予定時刻の天気予報をこまめにチェックしておこう。

 そして休日は特に観光客で混みあい、駐車場に入るのも困難になるので早めの行動が必要だ。 

■多くの人が訪れる「八幡平ドラゴンアイ」

雪道を苦労して登った先に現れるドラゴンアイ(鏡沼)

 苦労して雪道を乗り越えた先に現れるドラゴンアイは、自然が生み出す奇跡の光景である。

 山頂付近にある湖沼の一つ「鏡沼」が、5月中旬から6月中旬、中心に丸く氷を残し、その周囲は雪解け水に満たされる。まるで巨大生物の目のように見えることから、通称ドラゴンアイだ。

 この雪解け水がその日の天候や日差しの加減により、幻想的なエメラルドグリーンやブルーに染まる。タイミングが合えば映える写真が撮れること間違いなしだ。

 ドラゴンアイは、雪解けの進み具合や天候が完璧に噛み合ったときにしか開眼しない。

 この「今しか見られない」「荒天だとたどりつくことすらままならない」という希少性と、時間やタイミングによって二度と同じ表情は見られないという「一期一会」の体験こそが、多くの人を惹きつける理由だ。