北アルプスの雪渓が雪不足でたびたび通行止めになったり、今まで日本には存在しないと考えられてきた氷河が続々と発見されたり。ここ数年、登山者なら何かと「雪渓」と「氷河」というワードを耳にする機会が多いはずです。
雪渓と氷河を見た目だけで見分けるのは非常に難しいものの、この2つは似て非なるもの。国内に雪渓は数多く存在しますが、じつはその中で氷河として認定されているものは、現在わずか7つだけしかありません。
そんななか、長野県の白馬村では、新たに3つの雪渓が氷河として認定される可能性が出てきました。
■氷河とは「動く厚い氷の塊」
白馬村、新潟大学、立山カルデラ砂防博物館、白馬山案内人組合等によって結成された「白馬連山氷河調査団」によると、新たに北アルプス・白馬連峰の白馬沢雪渓が氷河である計測データを得たそうです。この結果、白馬村では2019年に氷河として認定された唐松沢雪渓をはじめ、昨年論文を提出済みの杓子沢雪渓と不帰沢雪渓に、この白馬沢雪渓を加えた、村内4つの雪渓全てが氷河である可能性が高くなりました。
ちなみに、雪渓と氷河の違いはご存じでしょうか。降り積もった雪が解けずに残った「雪渓」に対し、「氷河」は雪の下にある巨大な雪氷の塊が長期間に渡って連続して流動するものと定義されています。こう書いてしまうとなんだかわかりづらいですが、簡単に言い換えると、陸上にある雪と氷の塊のうち、動かないものが「雪渓」、動くものが「氷河」です。氷河は厚い氷の塊が、自重によって1年間に数m〜数十mも斜面下方に流れます。