年末年始をまたぐ時期は、寒さが厳しい。しかし澄んだ空気と静寂な自然の中で過ごせば、心身をリフレッシュできるだろう。今回紹介するのは、兵庫県丹波篠山市に位置する白髪岳(しらがたけ・標高721.8m)である。
白髪岳は別名「丹波富士」とも呼ばれ、関西百名山の一つとして知られている。この山の最大の特徴は、山頂付近のダイナミックな岩場からの眺望だ。特に冬は空気が澄んでおり、いつも以上に遠くまで見渡せるため、関西では人気の山である。
■白髪岳のダイナミックな岩場と眺望
白髪岳にはいくつか登山ルートがあるが、今回は往復2時間程度の住山(すみやま)登山口を利用した。住山登山口は、「篠山市林道ワン谷(だに)線」を約1.4km、25分程度歩いた林道の奥にある。登山口には立派な東屋と巨大な案内板があるのでわかりやすい。登山口から山頂まではほぼ急登だ。立派な道標や目印のテープがたくさんあるため、道に迷うことはないだろう。
山頂付近は切り立った岩場となっており、鎖やロープが渡してある難所である。ただそんな難所を高齢の登山客グループがひょいひょいと進んでいく。実のところ、この岩場は見た目ほど難易度は高くないのだが、スリル満点のエリアなので油断は禁物である。軍手をあらかじめ準備しておこう。またカメラやスマホは落としたらどこまで転がっていくかわからないので、恐らく回収不可能、紐をつけておくと安心だ。
岩場からの眺望は、周りに遮るものがない足元から広がる絶景。遠くまで続く山の景色を眺めていると、浮遊感すら感じる。ちなみに山頂もほぼ360度の視界が広がっているのだが、背の低い灌木が茂っており、岩場の大迫力の景色を見た後は少し物足りなさを感じてしまう。
白髪岳から隣の松尾山までは尾根続きである。松尾山の山頂は眺望がない。松尾山には明智光秀が丹波攻めを行った頃の城跡が残っているため、ついでに松尾山に立ち寄って、そのまま下山する登山者も多い。興味があれば、訪れてみるのもよいだろう。
ところで、白髪岳に限った話でもないが、冬になっても冬眠しない熊がいるので、熊鈴やラジオなどの熊対策は必須である。筆者はスマホで本の朗読サービスを聞くのが常だ。ただ熊鈴やラジオを含めて、沢や滝などでは音がかき消されて、熊が人の存在に気付かないことがある。スマホの音量を最大にしても聞こえづらくなるので、筆者はもう少し大きな音が出るBluetoothのポータブルスピーカーの購入を検討中である。
また白髪岳は急登が続くため、冬でもかなり汗をかく。山頂や下山後に汗冷えしないよう、着替えの持参をおすすめする。筆者の場合は山頂で一度、下山した登山口でもう一度、汗に濡れた服を着替えた。眺望がよいということは、寒風を遮るものがないということ。筆者が訪れた12月中旬、山頂付近はうっすら雪が積もっていた。