■駿河湾と富士山のパノラマ展望!「沼津アルプス」登山レポ
●香貫山の展望台では、富士山と五重塔の展望がお出迎え!
沼津駅前はビルや商店が立ち並ぶ、繁華街の様相だ。しかし、少し駅前を離れると豊かな自然が待っている。大通りを狩野川(かのがわ)沿いに歩き、黒瀬橋で対岸に渡ると沼津アルプスの玄関口、香貫山登山口だ。
石階段から始まる登山道は、10分弱で香貫山の中腹にある五重塔に到着し、その少し先に山頂が待っている。山頂の標高は193m。沼津アルプスの記念すべき1座目は、あっけなく登頂できてしまうが、目の前には富士山が望むことができ、低山とは思えない絶景が広がっている。
また、香貫山は野鳥の宝庫としても知られ、春にはさまざまな鳥たちのさえずりが楽しめる。
●6座のアップダウンを越え、沼津アルプス最高峰「鷲頭山」へ!
香貫山を越えたら、標高182mの横山、そして256mの徳倉山と続く。それぞれ300mに満たない低山だが、その都度アップダウンが繰り返され、最終的な累積標高差は900mほどにもなる。
低山だからと言って、甘い算段でいては思わぬ事故のもと。事前の準備と装備はしっかりと整えよう。とは言え、登山道は総じて整備されており、地域の登山愛好会が設置した案内板が要所要所に置かれているので、道迷いの心配は少ないので安心してほしい。
2つ目のピーク、横山では展望は得られないが、3つ目の徳倉山は、富士山と沼津市街が見渡せるビュースポットだ。なお、横山と徳倉山の間の横山峠には海側のバス停に下りられる下山路がある。沼津アルプスを何度かに分けて楽しみたいハイカーにとってはありがたい。
徳倉山の次は、志下山を目指す。こちらの標高は214mだが、疲労も溜まってきている中で、細かなアップダウンを繰り返すため、注意が必要だ。このエリアは駿河湾を一望できるポイントが複数ある、言わば沼津アルプスのメインストリートだ。景色を楽しみながらゆっくりと進もう。
志下山の先に待つのは沼津アルプス最高峰であり、今回紹介するコースの最終地点「鷲頭山」。急峻な登りとなる、最後の踏ん張りどころだ。小鷲巣山を経由してたどり着いた鷲頭山は広々とした山頂で、ベンチも備わっている。山名を記した木札が掛けられるのは立派な桜の木で、春には美しく咲き誇ることだろう。
一方景色はと言うと、残念ながら木々の隙間からわずかに駿河湾が見える程度。景色ならば手前の小鷲頭山のほうがよく見られるだろうが、最高峰登頂はハイカーにとって大きな喜びだ。ぜひ鷲頭山まで登ってきて、沼津アルプスを満喫してほしい。
●鷲頭山から最寄りバス停まで下山! 駅周辺でご褒美ごはん
鷲頭山登頂後は、来た道を引き返し、志下山手前の志下峠(しもとうげ)から海側に向かって下山する。登山道を抜け市街地に出れば、バス停はすぐだ。
スタート地点の沼津駅に戻るのもいいが、途中下車して、沼津港の海鮮を楽しむのもおすすめだ。新鮮な魚介を扱う飲食店や、干物などの土産店が所狭しと軒を連ねており、登山の疲れも吹き飛ぶはずだ。
山の自然と海の幸を一度に楽しめ、アクセスもいい。そんな恵まれた立地はそうそうあるものではない。そんな贅沢登山ができる沼津アルプス、ぜひ足を運び、心ゆくまで楽しんでもらいたい。