■世界一周を中断し、山生活は3年目。

なんだって作ってしまうスタッフ高橋くん。

 もう1人は、光岳小屋の縁の下の力持ち、高橋くんをご紹介。世界一周中だった時に感染症の問題で帰国したタイミングで、たまたまうちの小屋に入ってもらい、今年で早3年目になった。

 シーズンの大半を、わたしと高橋くんの2人で回している山小屋なので、小さいことから大きなことまで「ここ、どうしよっかね〜」なんて言い合いながら、2人が納得できる答えを探している。

 わたしは勢いとノリに頼りがち。考えに浅はかなところがある。一方、高橋くんは対照的で、冷静な判断と分析力に優れており、時には待ったを、時には背中を押してくれる。

 例えば、夕食の時間までに到着していないお客さんがいたり、バッタバタの時にわたしが「戦じゃ〜」とか叫んでいると、「いやいや、祭りでしょ」なんて言って、なんでも楽しく解釈してくれる天才だ。こんなんでしょげてたら山小屋なんてできないよ、達観することも必要だよね、ってクヨクヨしているわたしに言ってくれる。年齢はそんなに変わらないはずなのに、わたしよりずっとずっと大人だ。

毎日のベッドメイキングは高橋くんが一番丁寧!

 きっとわたし1人では、山小屋の運営3年目まで辿り着けなかっただろう。1人で奮闘していた時とは違って、今は2人がいるからね。同じ目線でコミュニケーションをとれる関係が、くすぐったくも、嬉しい。

 もちろん、わたしの「こういう山小屋にしたい」というビジョンがあっての今ではあるけれど、そこにスタッフそれぞれの個の色が混ざり合って、想像もできなかったような色が出ている感じ。それがまた、いい色なのだ。

 小屋だけじゃなくて、わたし自身の人生も周りの人たちが豊かにしてくれる。バランスの悪いわたしでも、みんながいるからなんとか立っていられる。まだまだ発展途上だけれど、小さい小屋なりに働いてもらいやすい体制を作らなければ、小屋に先はないと思う。どんな人とどんな小屋を作っていきたいか、そのためにどんな仕事を作っていくか。来年に向けて考えていかねば!