■稜線の谷間へ流れる落ちる「滝雲」

標高の高い山では、ハイカーと同じ高さにある雲を見ることができる。時には雲より高い場所から、雲海を見渡すこともあり、普段地上から見上げている雲とはまた違った印象を感じることができる。
雲や霧は山中の視界をゼロにしてしまうこともあるが、それが晴れた瞬間には美しい姿を見せてくれることが多い。

そうした瞬間で最も印象的だったのが、雲が谷へと流れ落ちるように動く「滝雲(たきぐも)」だ。遭遇したのは10月中旬、谷川連峰の平標山から仙ノ倉山(せんのくらやま)へと向かう途中。強風で霧に包まれていたが、平標山を通過したあたりで霧が晴れ、滝のように谷へと流れ込む雲の姿を見ることができた。
その時の雲はまるで意思を持って動いているかのように見え、壮大なスケール感で圧倒的な景色を演出してくれた。
■天気予報を注意深く確認してから出かけよう
秋冬の山が作り出す美しい造形や景色を紹介したが、くれぐれも行動には気をつけてほしい。強風は容赦無く体温を奪い、歩行中のバランスを崩しやすい。天気予報を入念にチェックし、風速の数値が高い予報の時には出かけるのを控える判断も必要になる。
冬になるにつれて山の気温は日中でもかなり低くなる。防寒具に加えてウインドシェルジャケットも携帯し、万全な防寒対策と安全第一で空気の澄んだ山の景色を楽しみたい