■波があるときの注意点

気象庁が発表する波高をひとつの基準にしよう

 波は風の強さと向きによって大きくなったり小さくなったりする。沖から陸に向かって風が吹いている時は波高数値以上の波になることも。また逆に陸から沖に向かって風が吹いている時は数値以下の波になることがある。風の強さや向きは一定ではないので波高の数値も同様である。風だけでなく潮汐(満ち潮引き潮の動き)も波の大小に影響することを知っておこう。

 いずれにしても波がある時には危険をともなう。ちなみに天気予報で伝えられる波の高さ1.5mというのは、海岸まで1.5mの波がくるわけではない。海岸に到達する波は実際にはかなり低い。気象庁で観測している波の高さは、海岸から20km離れた沖合で観測したものである。ただし、波の高さ2mで遊覧船や遊漁船の出航が中止になるケースが多いので、海に近づいてはいけない目安になる。

国土交通省 GPS波浪計による波浪・津波観測の高精度化 https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/sokuitiri/yosan/h25-yosan-2.pdf

■ライフジャケットを必ず着用する

 波がある時でも凪の時でもライフジャケットの着用は必要だが、いまだ未着用の釣り人はいる。ライフジャケットの着用は水難事故の確率を大幅に減らすので、必ず着用しよう。ライフジャケットには、「手動式膨張タイプ」「自動膨張タイプ」「ベストタイプ」「腰巻タイプ」「肩掛けタイプ」などいろいろある。岸から狙うおかっぱりの釣りの場合は、収納力もあるベストタイプが主流だが、船では腰巻タイプも多用される。どのタイプでもよいのでベルトをきちんと締め、落水時に体から抜けてしまって用をなさないので、バックルやベルトをしっかり締めて釣りを楽しもう。

■釣り場の状況をよく確認!  危険を感じたら直ちに撤退

 波の高さは予報よりも高くなることもある。釣り場に到着して釣り座が危険だと感じたら場所を変えるか、その日の釣りをあきらめるべきだ。釣り始めは波が高くなかったが、釣りの最中に防波堤の広範囲に波がかかったり、砂浜で足元に来る波が高くなることがある。そういった変化を感じたらすぐに撤退しよう。どのアウトドアアクティビティも天候の悪化や自然災害においては、自分の的確な判断を要するのは言うまでもない。

 海は多少波っ気があるほうが釣果は上がることが多く、期待できるのは確かだ。しかし、波が高い時は大変危険である。波の高さに加えてライフジャケットの装備や潮の満ち引きの確認も必要。また釣果優先ではなく、どんな時でも安全第一に釣りを楽しんでもらいたい。