秋の海釣りは釣果が上がりやすいと言われている。筆者の経験でもそう感じているが、それはなぜなのだろうか? 今回はその理由と、秋の海釣りでおすすめの魚を3種紹介する。
■秋は、なぜハイシーズンといわれるのか?
気象学では、9月から11月を秋と定義している。水温が極端に高くなったり、低くなったりすると魚の活性は低くなる傾向にある。真夏は水温が高く、水中の酸素量が減ることで魚の活性が低くなってしまう。これらが解消され、多くの魚にとって適水温に近づく秋は、魚の活性が高まりやすいと考えられている。
また、秋は水温が年間で最も低い冬の前の季節でもある。冬に魚は沖の深場に落ち、体力を温存するために秋のうちに積極的に捕食活動を行うので、秋は魚が釣りやすいのである。
●秋の水温に適した魚が多い
魚にはそれぞれ適水温がある。春から冬までオールシーズン狙える魚も存在するが、釣りの対象魚ではそれほど多くない。9月中旬から表層付近の海水温は下がっていき、真夏にはまったく釣れなかった魚が岸近くで釣れるようになることもしばしば。
筆者の住む秋田県でも9月に入り、真夏にたくさん釣れていたシロギスの釣果が落ちてくると、入れ替わるかのようにサワラやイナダ(ブリの幼魚)などの青物が釣れ始める。これは海水温の変化によって浅場の魚が敏感に反応して深場へ徐々に移動し、深場にいた青物がその動きを察知して浅場にやってきたのである。沖の水深が深いポイントではさほど水温に変化は現れないが、浅場の表層付近の水温は秋が深まるにつれ下がっていく。
研究機関や資料によって魚の適水温には差があるし、あくまで目安ではあるが参考にしよう。参考URL:魚の適水温 https://turetatureta.blog.fc2.com/blog-entry-253.html?sp
■秋の釣りには難しさも?
秋の釣りは水温が下がってきて、魚は釣りやすいが実は難しさもある。これを知っておくと、さらに釣果を伸ばせるはずだ。
●魚の居場所が分かりづらい
夏は、より水温が低く溶存酸素量が豊富な河口まわりや深い場所、もしくは日陰になっているポイントなど、魚が居着きやすい場所がはっきりするため、ポイントを絞りやすい。それが適水温に近づく秋になると、魚たちは広いフィールドに散り、ポイントが絞りにくくなる。
小魚の群れが追われるナブラが何時にどこで起こったとか、海鳥が集まるトリヤマを見つけるとか、ボイル(小魚を捕食する行動)を見たとか、釣り人が多く集まるポイントがあるとか、釣具店からの情報などをヒントにポイントを絞り込むのが良いだろう。
●マズメ時もいいが、小魚の群れも確率高い
水温が低くなる分、魚の活性がマズメ時に集中しない日もある。晩秋や気温が低い曇り空や雨の日は、マズメ時に釣果がともなわない日も多い。しかしそれを逆手にとれば、日中のぽかぽかした陽気の時に釣りをできたり、明るい時間帯に子どもを連れて釣りに行きやすいといったメリットもある。マズメ時にまったく魚の反応がない時は、思い切って釣り場を離れ、時間をずらして再釣行するのもおすすめだ。
●地域によっては、まだ「夏の海」のところも
関東以南の海水域では、9月下旬とか10月に入っても海水温が高いままの所が多い。当然、そのような状況では魚の食いが渋いままで釣果が伸びないこともある。地域によって差が出るため、頭に入れておくと良いだろう。
海水温は空気より温まりにくく冷えにくい性質があるため、気温の変化とリンクしないことが多く、「海の季節は陸上の1か月遅れ」といわれているらいだ。特に近年は海面水温の上昇が影響しているため、11月頃から釣果が伸び始めることも多いので、秋の初めに釣れなくても悲観することはない。