■ハコスチの強烈なファイトに大興奮!
今年の紅葉は遅れ気味です。取材日は10月下旬でしたが、わずかに色づき始めた程度でした。
川の駅から見下ろした釣り場は、緩急のリズムある流れが続いています。前日には整ったヒレが美しい“美ハコ”の追加放流もされたそうです。目を凝らして水の流れを見ていると、大きな魚影がちらほらと確認でき、俄然期待が高まります。
フライロッドにラインを通して、静かにキャスティングを繰り返します。小さなアタリはあるものの、なかなかフッキングにはいたりません。掛かってもすぐにバレてしまいます。
首を捻りながら「さすがに簡単には釣れないか」と思っていたら、いきなり強烈なアタリとともにフライを魚が咥えました。とにかく引きが強くよく走るハコスチは、プールの中を行ったり来たりしながら垂直にジャンプして興奮させます。激しく頭を振りながら川床へ引き込もうとする魚とやり取りすること数分、銀ピカのハコスチをネットに導くことができました。
当日は朝10時の段階で50人ほどが入場したそうです。広い釣り場には適度に間隔を空けてルアーやフライ、なかにはテンカラ(延べ竿での和式毛鉤)を手にした釣り人が熱心に竿を振っています。さすがに「次から次へと釣れる」という訳にはいきませんが、まるで交代するように上流で、下流で、大きく曲がったロッドを掲げている釣り人が見受けられます。
ちょうど対岸のテンカラ師が一匹掛けました。弓形にロッドがしなり、水面が激しく乱れている様子にこちらまでワクワクしながら横目で見ていると、筆者のフライにも2本目が掛かりました。大物の手応えにドキドキします。1本目より時間をかけて、レッドバンドが印象的な見事な“美ハコ”をネットに導くことができました。
■初めてでも釣れた! 逃した魚は大きいけれど、超楽しい
今回、ルアーマンを一人連れていきました。同行者は冬季釣り場の経験がなく、当然“冬季ハコスチ釣り場”も初体験です。それでも2本の50cmオーバーの魚を釣り上げ、そのファイトに(嬉しい)悲鳴を上げ、ヒレの整った太く美しい魚体にうっとりとしていました。
実は開始早々にかなりの大物を掛けていたのですが、初めて対峙する大きなハコスチに翻弄されて惜しくもフックアウトしていました。「最初にバラした魚が一番大きかったのに……。また来たい」と随分とお気に召した様子でした。
午後になるとコカゲロウたちがちらほらと舞い出し、散発的なライズも起こっていました。すでに魚影はかなりありますが、この先も随時追加で放流されるそうです。紅葉の盛りには穏やかな流れへの映り込みも合わせて美しい景色が広がります。華やいだ秋の渓で日がな一日、一喜一憂の釣りをして過ごすのも一興です。