紅葉前線がおりてきて、近郊の山の計画がはずむ季節。落葉広葉樹林が多く、燃える紅葉を演出する奥秩父エリアで、よりカラフルなハイキングを楽しめるのが「西沢渓谷」だ。一年の中で、特に魅力的な秋の様子をお届けする。
■「西沢渓谷」とは?
西沢渓谷は秩父多摩甲斐国立公園内、笛吹川(ふえふきがわ)の上流にある約10km、4時間ほどの遊歩道。日本の滝百選に選ばれた「七ツ釜 五段の滝」を折り返し地点として、前半は渓谷美、後半はトロッコ跡の旧森林軌道を緩やかに歩く。
侵食された花崗岩(かこうがん)の滑らかな滝壺は、一つひとつがエメラルドグリーンに輝く宝石のよう。宝箱を彷徨うように、原生林と水の美しさに魅了されるトレッキングコースだ。
▼西沢渓谷ガイドマップ
https://www.yamanashishi-kankou.com/wp/wp-content/uploads/2017/02/843e80395ad3f6eaa2132a382194ddae.pdf
■紅葉期の「西沢渓谷」ハイキングレポート
筆者が訪れたのは11月初旬。スタートは、日本百名山「甲武信ヶ岳(こぶしがたけ)」の山梨県側の入口と同じである。林道から眩しいほどの彩りが広がり、数歩ごとにカメラを構えてしまう。なかなか歩が進まないので注意しよう。
コースが本流に沿うようになると、エメラルドグリーンの滝壺が次々と現れ、紅葉とは対照的な色合いにこれまた釘付けになる。
渓谷の地形はところどころ川への傾斜がきついところがあり、鎖がかけられている場所などは、ちょっとしたアスレチック感を楽しめるが、通行には注意したい。多くの登山者は渓谷を先に歩くが、ときどきすれ違いもあるので譲り合って進む。
「七ツ釜 五段の滝」を過ぎると沢を離れ、広くて歩きやすい「旧森林軌道」に変わる。かつて材木を運んだトロッコ跡で、平坦に近い緩やかな下りだ。午後の日差しに照らされた紅葉の輝きはピークに達し、錦秋のトンネルでハイキングを終えた。