釣りブームは数年おきに訪れると言われているが、「レジャー白書」によると2000年代には1000万人超いた釣り人口が、2022年には520万人にまで減少している。
そして、コロナ禍とともに訪れたキャンプなどのアウトドアブーム。3密を回避できるアクティビティということで瞬く間に広がりを見せ、それは釣りにおいても例外ではなかったと、筆者は釣り場で実感した。
しかし、2020年から2022年の3年間の釣り人口の統計は、550万人、560万人、520万人と、ブームというにはごく小規模の人口増加で、最新の統計ではむしろ減っている。では、なぜ釣りブームが来ていると筆者は感じたのだろうか? いち釣り人の目線から推察してみよう。
■釣りブームとマナーの関係
まず、筆者が釣りにハマるきっかけになったのは、1990年代半ばの釣りブームだ。当時はまさに猫も杓子もレジャーは釣りという風潮だったのを覚えているが、なかでも強く記憶に残っているのは、釣り場に多くのゴミが捨てられていたことだ。
その後、筆者はかなりのブランクを経て10年ほど前から再び釣りを再開したのだが、何よりも感じたのは釣り人が激減したこと。
そして時代が違うからなのか、釣り場のゴミもかなり減ったように思えた。このことから、釣り人の増加とゴミのポイ捨てといったマナーの悪化は、比例関係にあるのではないかと考えている。
■減少を続ける釣り場
筆者が通う地域の漁港には、かねてより「関係者以外立ち入り禁止」の看板がある。しかし、実際にはほとんど建前と言ってよいもので、町のホームページの観光情報にこの漁港における季節の釣り物が載っているほどだ。
釣りをしていると地元漁師に釣果を聞かれ、釣りや魚の話題で談笑するくらいに漁師と釣り人の関係は良好であった。
しかし、釣り人によるものと思われる釣り場のゴミは一向に減る様子がなく、船の係留ロープなどに引っかかったままの釣り針を見かけることもあった。
コロナ禍をきっかけに火がついた釣りブームでマナーの悪化に拍車がかかったのか、ついに簡易的なバリケードが設置されてしまった。
バリケード間には車一台分のスペースが空いていて、漁港に入ることは可能。だがこのバリケードは漁港関係者による「入ってほしくない」という意識の表れともとれ、もう以前のように港内で釣りはできなくなってしまった。
■魚の数も減った?
釣果の方はというと、上記の立ち入り禁止になった釣り場のような明確なレポートは難しいが、ここはひとつ筆者の体感をもとにお伝えしたい。
筆者が最も好きなシーバス(スズキ)のルアーフィッシングでは、良い海況の日に当たれば難なく複数匹の釣果をあげることが以前はできた。
しかし近年「この日は釣れる!」と思って出かけた日でも、釣果をあげられないことが増えてしまった。コロナ禍で訪れた釣りブームの前は、人の姿を見かけることがほとんどなかったような穴場的なポイントでも、近年は釣り人にあうことが増えてきた。
釣果が減ったことも釣り人の減少と関係が深いのではないかと考えている。穴場的ポイントは魚の絶対数も少ないことが多く、そのような場所で釣れた魚は必要以上に持ち帰らずリリースすることが、末永く釣りを楽しむうえで必須ではないかと考える。