■9月下旬に栃木県の思川にて実釣

栃木県小山市を流れる思川。このような平瀬(水深は20~30cm)のポイントでカワムツがよく釣れた

 今回、筆者が訪れたのは栃木県の小山市を流れる思川(おもいがわ)。利根川水系渡良瀬川支流の一級河川で、初夏から秋にかけてアユ釣りが盛んに行われており、カワムツも多く生息している。

 一般的にカワムツは、川の流れが緩やかな場所を好むとされている。冬から春にかけての低水温の時期は水深のある淵(ふち)などが好ポイントになるが、今回のような初夏から秋にかけての適温~高水温時は水深が浅く酸素量が豊富な平瀬(ひらせ)などに群れていることが多いため、そのようなポイントで釣りを開始した。

 立ち位置から斜め上流に向けてルアーをキャストした後は、ルアーを川の流れにのせてゆっくりと引いてくる。するとすぐにカワムツとおぼしき10数匹の小魚がルアーの後ろを黒い帯になって追いかけてきた。

 途中で何度も「コツコツッ」とアタリはあるものの、なかなかフッキングには至らない。どうやら魚の口の大きさに対して、フックが大きすぎるようである。

 しかし、ここで釣りを諦めるわけにはいかない。過去のカワムツ釣りの経験からこんな事態になることは想定済み。今回はこれに備えて、ある秘密兵器を用意してきたのだ。

 その秘密兵器というのは、カワムツやウグイ、オイカワなど雑魚のエサ釣りで使用されている極小針をハリス止めを介してスプーンに取り付けるというもの。

カワムツのハリ掛かりをよくするためにエサ釣り用の極小針をハリス止めを介してルアーに取り付けた

 そしてこれが効果てきめんで、ハリ掛かりが格段によくなったのである。しかし、このエサ釣り用の極小針は軸が細く弱いため、水中にある石やゴミを引っ掛けてしまうとすぐにダメになってしまう。まだまだ改善の余地がある。それでもこのような試行錯誤もまた釣りの大きな楽しみの一つである。

小型のスプーンで釣れた思川のカワムツ(体長13cmのオス)
カワムツのオス。下顎から腹部にかけて鮮やかなオレンジ色(婚姻色)を呈していた
顔のまわりに追星(おいぼし)と呼ばれる小突起があらわれるのも産卵期にみられるオスの特徴である
釣れたカワムツ(オイカワ含む)は10cm前後の小型がほとんどだった

●当日の釣果(実釣時間はおよそ4時間)

・カワムツ 14匹(サイズは最大で13cm)
・オイカワ 3匹(サイズは最大で11cm)

筆者が使用したタックル
ロッド:エリアトラウト用のスピニングリール竿(ウルトラライト)1.8m
リール:エリアトラウト用のスピニングリール1000番
ライン:ナイロンライン4ポンド(1号)
ルアー:エリアトラウト用のスプーン サイズ20~35mm(2~3g)
フック:エサ釣り用の袖針(ハリス付きのもの)3号 ※ハリス止めを介してルアーに取り付けた

カワムツ釣りで使用したタックルと道具(長靴、ビク、小型アクリル水槽など)

■秋の行楽にカワムツのルアーフィッシングはいかが!

安・近・短で手軽に楽しめるカワムツのルアーフィッシングは秋の行楽シーズンにぴったり

 近所の河川で手軽に数釣りが楽しめるカワムツのルアーフィッシングについて紹介したが、興味をもっていただけただろうか?

 カワムツは多くの地域でウグイやオイカワなどと同じ「雑魚(ざこ)」という扱いで、遊漁料金が低く設定されていることが多い(もちろん例外もある)。今回筆者が訪れた思川(栃木県下都賀漁協管内)での遊漁料金(日釣り券)は、大人500円(中学生以下は無料)と格安だった。現在の物価高の世の中、この値段で大人が一日楽しめる遊びもそれほど多くはないだろう。

 これから始まる秋の行楽シーズン、来シーズンの渓流解禁に向けて、カワムツを相手にルアーの腕を磨くのもいいのではないだろうか。

 

【注意】河川によってはカワムツなどの雑魚狙いでも、ルアーフィッシングが禁止されている区間・期間が設けられている場合があるので、釣行の際は各漁協の最新の遊漁規則を確認のこと。

●【MAP】思川(観晃橋付近)