■イグチに毒なし

傘の裏がスポンジ状になっているのがイグチ科の特徴

 「イグチに毒なし」

 これもよく耳にしますが、迷信です。

 イグチ科に分類されるキノコは、傘の裏側がヒダではなく、管孔状(スポンジ状)になっていて、柄があることが特徴。有名なものだと、ポルチーニもイグチ科のキノコの1つです。食用のイグチは多いですが、ドクヤマドリのように見分けづらい毒キノコもあるので要注意。

■かじってみて変な味がしなければOK

傷をつけると青く色が変わるかも判断基準になります

 「かじってみて変な味がしなければ毒はない」

 これも間違いです。この話をするおじいちゃん、よく山で出会いますが、こういう人が危ない!

 毒キノコの中には、アミノ酸を多く含み、旨味を感じるようなものもあるそうです。また、食べられるものの中にも、かじると苦味を感じるものがあります。

■塩漬けにすれば毒が抜ける

毒キノコは調理をしても絶対に口にしないこと

 「毒のあるキノコも、まとめて塩漬けにすれば食べられるようになる」

 たしかに、塩漬けにして水にさらしたり、加熱調理をすることで無毒化される(シャグマアミカサダケなど)ものもあるようですが、残る毒もあるので、この説は信じない方が安全です。

 他にも、ナスと一緒に煮ると毒が消える、という説も検索に引っかかりますが、これも当然根拠がありません。また、食用のキノコでも生で食べると食中毒になることがあります。

■結論。毒キノコを安易に見分けられる方法はない

ひと目見ただけで判断するのは経験者でも難しい

 日本には約10,000種類のキノコが自生し、毒キノコも200種類以上あると考えられています。

 食用キノコであっても、食べ方や調理によっては体の害となるものもあります。傘は美味しいけど、茎の部分を食べるとお腹をくだす、といった難しいものも存在します。それらを全て覚えるなんて不可能でしょう? つまり、毒キノコを簡単に見分ける都合のいい方法なんてないのです。

 野生のキノコを採集する際は、その山のキノコに精通した専門家に確認してもらうのが、もっとも確実かつ安全な方法です。少し聞き齧った程度の知識の素人では見分けられません。前時代的な迷信を信じず、登山中に美味しそうなキノコを見つけても安易に手を出さないようにしましょう。