まだ7月だというのに命の危険を感じるほどの暑い日が毎日のように続いている。釣りに行きたいのは山々だけれど、この暑さでは長時間の釣行は絶対に無理。短時間でも十分に楽しめる釣りはないかと探している人もきっと多いのではないだろうか。

 今回は、そんな夏の釣り物を探している人に向けて、霞ヶ浦(かすみがうら)のテナガエビ釣りを紹介したいと思う。朝夕の涼しい時間帯に狙いを定めて3時間ほど釣り糸を垂らせば、初心者でも10~20匹前後、ベテランならば「束(そく)釣り」(1束は100匹)も十分可能でボウズの心配はほぼなし。

 しかもテナガエビは食べておいしいことから、釣りの後にももうひとつ楽しみが待っているとても嬉しいターゲット。

 この記事では、そんな魅力たっぷりの霞ヶ浦のテナガエビ釣りの情報をまとめたので、ぜひ最後まで目を通していただきたい。

■霞ヶ浦は、関東有数のテナガエビ釣りの人気スポット

霞ヶ浦では「ワカサギ」と「シラウオ」にならび「テナガエビ」が漁業上の重要魚種に指定されている(撮影:水卜ヤマト)

 関東地方でテナガエビの釣り場といえば、江戸川や荒川、多摩川のような東京湾に注ぐ大河川の汽水域(潮の干満によって淡水と海水が混ざる水域)を思い起こす人が多いかもしれないが、実は淡水域にもテナガエビは生息している。その代表的な水域のひとつが霞ヶ浦である。

 霞ヶ浦では、その資源量の多さから昔からテナガエビ漁(引き網漁 通称トロール漁)が盛んで、内水面漁業におけるエビ類(テナガエビ以外のカワエビ(スジエビなど)も含まれている)の漁獲量は、つねに上位に位置している(令和4年の漁獲量はおよそ19トンで全国2位)。

 このようなテナガエビの産地である霞ヶ浦では、昔から釣りも盛んに行われており地元の人はもちろん、県外からも多くの愛好家が訪れる人気の釣り場となっている。

■釣りの最盛期は6~7月。ポイントは湖岸にある構造物周り

湖岸沿いにある消波ブロック。テナガエビの代表的ポイントのひとつ(撮影:水卜ヤマト)

 テナガエビは、水温20~30℃の温かい水を好む。霞ヶ浦の水温がこれとちょうど同じくらいになる5月~10月にかけてが釣りのシーズンであるが、数釣り&大物狙いを楽しみたいなら最盛期の6~7月に釣行することをおすすめする。

 代表的なポイントは、湖岸にある消波ブロック(通称:テトラポッド)や捨て石(護岸のために大量に入れられた石のこと)といった人工の構造物周り。テナガエビは夜行性のため、昼間はこれら水中にある構造物のすき間や陰に隠れていることが多いのだ。

このような捨て石まわりにも多くのテナガエビが身を潜めている(撮影:水卜ヤマト)

 もし土地勘のない初心者がこうしたポイントを探す場合は、Googleマップなどの衛星写真で確認するか、地元の釣具屋で情報を仕入れるか、湖岸線を走る道路脇に停められている車(梅雨~夏にかけてはテナガエビ釣りで訪れる車である可能性が高い)を目印にポイントを探すといいだろう。

■初心者は、市販のセット仕掛けがおすすめ

今回使用したテナガエビ用のセット仕掛けと予備のハリ(撮影:水卜ヤマト)

 テナガエビ釣りはたいへんシンプルなため、小さなお子さんや初心者でも簡単に始められるのが大きな魅力のひとつ。経験者に最初だけ釣り方を指導してもらうか、あるいは事前にYouTube(ユーチューブ)などで釣り方の解説動画を見ておくなどすれば釣り方をマスターできるだろう。

 使用する仕掛けもとてもシンプルなため自作も可能だが、作るのはちょっと不安だという人は市販のテナガエビ用のセット仕掛け(釣り糸を竿に結べば、すぐに釣りが出来る状態になっている仕掛け)を用意するといいだろう。

 エサについては、生きたアカムシ(ユスリカの幼虫)やミミズ(小さく切って使用)が定番だが、生きたエサは苦手で触れない、あるいは入手が困難だという人には、観賞魚用のエサとして流通する乾燥アカムシや乾燥イトミミズの使用をおすすめする。

 これは少量の水で練ってから使用するのだが、その日に使う分量だけを取り出して使用するためコストパフォーマンスに優れ、しかも長期保存も可能だ。シーズン中に何度も通う地元の釣り人の多くが、この乾燥エサを使用しているので実績は十分である。

 ただし、生きエサに比べてエサ持ち(ハリにつけたエサが水中でどれくらいの時間持つかの度合い)がとても悪いことは覚えておいた方がいいだろう。エサを練る際の水分量でその程度は変わってくるが、基本的には仕掛けをポイントに投入するたびにエサ付けが必要なのでかなり面倒である。

使用した乾燥エサ。エサ持ちをよくするために粘り気の強いタナゴ用の黄身練りエサを混ぜて使用した(撮影:水卜ヤマト)
水で練った乾燥エサをハリに付けているところ。エサ持ちが悪いため釣果を伸ばすにはスムーズなエサ付けが欠かせない(撮影:水卜ヤマト)

【おすすめのタックル】
・ロッド:小物釣り用のノベ竿 長さ1.5~2.1m前後 ※1,000~2,000円ほどで購入可能
・仕掛け:市販のテナガエビ用セット仕掛け 2~2.5号(玉ウキまたはシモリ仕掛け) ※300円前後で購入可能
・予備のハリ:水中にある障害物周りを探る釣りのため根掛かりが多く、予備のハリ(ハリス付きがよい)は必須 ※200円前後で購入可能
・エサ:アカムシ(生きエサ)、乾燥アカムシや乾燥イトミミズ(観賞魚用のエサとして流通しているもので水で練ってから使用する)

【あると便利な道具】
・針外し:市販のピンセットでよい
・エサ入れ:エサが乾燥するのを防いでくれる
・折りたたみ椅子:釣り場での腰掛け
・ビク:釣ったエビを生かしておくための魚入れ
・クーラーボックス:エビを持ち帰る際に使用。現場でシメてから持ち帰る場合は氷も必要
・エアーポンプ:クーラーボックスに入れたエビに酸素を供給するためのポンプ。生きたまま持ち帰る際は必須のアイテム
・小型アクリル水槽:釣ったエビを横から観察できる
・タオル:濡れた手を拭くために使用
・日焼け止めグッズ:湖岸は日を遮るものがないため必須のアイテム
・虫よけグッズ;夏場は蚊などが多いため必須のアイテム

使用したタックルとその他道具。右はクーラーボックスとエアーポンプ、小型アクリル水槽(撮影:水卜ヤマト)
力任せにハリを外すと傷ついて死んでしまう。生きたまま持ち帰りたい場合はピンセットを使って優しく外してやろう(撮影:水卜ヤマト)