武尊山(ほたかやま)は群馬県の北部にある山で、いくつものピークで構成されており、主峰は沖武尊(おきほたか・標高2,158m)で、前武尊(まえほたか)、剣ヶ峰山(けんがみねやま)、中ノ岳(なかのだけ)などがあり、南側が開けた馬蹄形に連なっている。

 日本百名山に名を連ねるほか、関東百名山、関東百霊山などにも選定されている。今回はそんな武尊山を日帰りで登るルートを紹介したい。

■武尊神社からの周回コース

 ここで紹介するのは、武尊神社から手小屋沢避難小屋(てごやさわひなんごや)を経て、武尊山へと登り、剣ヶ峰山を経由して、武尊神社へと戻ってくる周回コースだ。

 登山道の大半が眺望のない樹林帯であることから、別区間を歩くことで新鮮な気持ちで登山できるのが周回コースを選んだ理由だ。

 所要時間は7時間15分ほどで、距離は約11.8kmとなる。行動時間が長いので、時間に余裕をもって早朝から行動したい。

筆者の歩いた周回コース

■分岐点から山頂までは急登、鎖場ありの区間

 スタート地点となるのが、裏見ノ滝(うらみのたき)駐車場。マイカーでのアクセスが基本となる。駐車場までの林道は、舗装されており運転しやすい。

 駐車場にはトイレが設置されている。駐車場から先はトイレがないので、ここで済ませてから出発しよう。

 駐車場から出発して5分ほどのところにあるのが武尊神社だ。武尊神社は日本武尊(やまとたけるのみこと)を祭神とする神社で、武尊山の山名にも由来している。

武尊神社。登山の安全祈願をしてから出発したい

 武尊神社からしばらくは、車が通れる道幅の林道が続く。ほどよい傾斜でウォーミングアップにはちょうどいい。

 武尊神社からおよそ50分で分岐点に到着する。ここから手小屋沢避難小屋へは登山道となる。

手小屋沢避難小屋までの登山道に危険はないが、急な傾斜が続く

 急傾斜ではあるが、危険を感じるような場所はなかった。初夏の時期、登山道には高山植物が咲いているのでペースを少し落とし、花を楽しみながら登るといい。

 筆者の場合、単調な樹林帯だと山頂を目指す気持ちが急いて、オーバーペースになりやすい。長い登りが続く登山道だったのでオーバーペースにならず、筆者のようなせっかちなハイカーにとってはちょうどよい区間だった。

登山道の脇に咲いていた「ミツバオウレン」

 訪れた日の天気予報は晴れだったのだが、実際の空は雲に覆われていた。視界がよくなかったが、登山道沿いに咲く花を楽しみながら登った。

 分岐点から約1時間5分で、山頂へと続く稜線に到着。稜線には手小屋沢避難小屋がある。とはいえ避難小屋は登山道から5分ほど沢沿いに下ったところにあるので、立ち寄らずに山頂を目指した。

避難小屋は登山道から少し下ったところにある

 手小屋沢避難小屋を過ぎると、山頂まではいくつかの鎖場を越える。しっかりと三点支持(両手、両足の4点のうち、3点で身体を支えること)をして登る鎖場となるが、足の置き場が安定していて、不安なく登ることができた。

高さ5〜10mほどの鎖場が連続する

 鎖場は高いところで、ビル3階に匹敵しそうな箇所もあったので高度感はある。くれぐれも慎重に進んでほしい。

 鎖場を越え、背丈よりも高いハイマツが両側に生い茂るようになってくると山頂は近い。晴れていれば眺望が楽しめるはずだが、筆者が訪れた時は雲の中、真っ白で何も見えなかった。